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【戸別訪問レポ】『農家のお嫁さん』って実際どう?

2014.12.15

『農家のお嫁さん』

それも先祖代々続く老舗の農家に嫁ぐなんてことになったら――。

しきたりは?

彼のご両親との関係は??なんて、すごく大変そうな気がしちゃいますよね。


ならば当事者に直接聞いちゃいましょう!

ということでやってまいりました。福島県の渡辺果樹園さん。

そして、この方がお嫁さんの渡辺佳子さんです。

べっぴんさんやー!

手前に写っているのはご主人の喜則さん。負けじとイケメンです。


佳子さんは、「女性農業次世代リーダー育成塾」の塾生。

今日は、育成塾の講師を務める脇坂真吏さんが視察にやってくる日なのです。

スカイプや動画通信があったとしても、現場でしか分からないことってあるそうなんですね。


ちなみにこちらの渡辺果樹園さんは、梨一筋80年。

ル・レクチェという高級西洋梨を3代目であるお父さんの代から25年間作り続けているのだそう。

フランスの原産で、12月のギフトシーズンやお歳暮などで引っ張りだことか。


じゃーーん!

もう黄色っていうか、金色ですねこれは!!

で、このル・レクチェ、舌触りはとってもなめらかで、

メロンとバナナとマンゴーのいいとこ取りのような、そんな夢のようなお味がするそうです。


今年の分はまだ熟していないので、

喜則さんのお母様が「出荷できなかったものを遊びで」作ってみたという

フリーズドライバージョンをいただきました。

くんくん、洋菓子のような甘い香り、

口の中でふやかしているととろっとろの果肉が……あぁ!!

ここに嫁いだら、フレッシュな生のほうも食べられるのですね。

お家もとっても大きくて何やら立派な蔵まであるし、

言うことないじゃないですか!!


欲望の塊となった農女新聞をよそに、

佳子さんは真剣な問いを脇坂さんにぶつけています。

■佳子さん

TPPが実際に稼働されたら、日本からの(果物の)輸出もありますよね?


■脇坂さん

輸出の場合は、香港やシンガポールなどがターゲットとして想定されていますが、

本当に顧客として見込めるのは上層の数十万人だけなんですよ。

関東地方の規模に比べたら、とても少数です。

それよりも今必要なのは、海外進出の前に「ネゴシエーション力」の向上です。

日本全体にも言えることですが、

同じ国の人間同士の交渉でもおぼつかなければ、海外を相手にしても成功は難しいですよ。


―― 厳しいお言葉ですが、これも日本の農家さんを愛しているからこそ。

その後も、受注の効率化、顧客情報の管理など、

普段なかなか手が付けられなかったデータ関連の相談が相次ぎます。

そして訪れた、束の間の雑談タイム……。


も、もしかして例の質問をするなら今しかないのでは??

と、恐る恐る聞いてみました。

そう、「農家のお嫁さん」の“ぶっちゃけ話”です!


■農女新聞

ところで、佳子さん。ご主人と結婚する前は、農業に関わっていたのですか?


■佳子さん

いえ、全く(笑) 以前は旅行会社にいました。

国際輸送を受け持つ部門で、専務秘書の仕事をしていました。


■農女新聞

じゃあ、農家を継ぐとなったときに不安はありませんでしたか?

やっぱりご主人に頼み込まれて?


■佳子さん

違いますよ、私から誘ったんです。

旅行会社は子どもができて退社したのですが、そのとき彼(喜則さん)が

「農園は継ぎたくない」というのを聞いて・・・

「あんなに立派な仕事をどうして存続させないの!」と熱くなり、

一緒にやろうと説得したんです。

ビルの中で内勤だったせいか、自然に対する憧れが強かったんですね。


■喜則さん

そうなんですよ。

それで「まー、お前も一緒にやってくれるなら」ってことで、

農園を継ぐことにしたんです(苦笑)

――喜則さん、めちゃくちゃリードされてるじゃないですか(笑)

しかしその間も、夫婦はしきりに笑顔でアイコンタクト。

お子さんが二人もいるとは思えないぐらいのラブラブぶりですね。

(ちなみに渡辺家は、犬も仲良し)


■佳子さん

この家では公私ともに同志のような存在なので、

言いたいことはなるべく言うようにしてるんですよ(笑)。

それに嫁だからといって、「三歩下がって」とか

「はい分かりました」ばかりではつまらないじゃないですか。

だから、出荷作業を短縮するにはどうしたらよいのかなど、

自分から面白がって色々チャレンジさせてもらっています。

だから、ウチの実家の両親も全然心配してくれないんですよ(笑)

まぁ、それもこれも、お義父さんとお義母さんの懐の広さがあってのことだと思いますが。


―― 今まで抱いていた「農家の嫁」のイメージがガラガラと崩れ落ちました。

楽しくアクティブなお嫁さん、ありですね!!

それでいて謙虚さを忘れない!!


午後2時すぎにお邪魔したはずが、帰りはもう真っ暗。

3時間を超える長丁場でしたが、かなり具体的な改善の目途が立ったようで、

スッキリした表情の佳子さん&喜則さんご夫婦。


美味しいル・レクチェの裏に、夫婦の絆あり。

これからも素敵なカップルでいてくださいね。


渡辺果樹園

住所須賀川市森宿字安積田118

電話 0248-73-4174

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