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ニーズが顕在化していない時代にどう売るか?

2016.08.31


7月20日、21日の日程で行われた第2回講義。初日は巣鴨でフィールドワーク。2日目はその振り返りから始まりました。6月の初回講義で行われたの銀座・丸の内でのフィールドワークと比べると、「時間帯でお客さんが違う」「商品が違う」など様々な気付きが生まれてきます。

この気付きをもとに進める今回の講義内容は「BtoCビジネスで決めなければならないこと」。それは「お客様は誰か?」「何が必要か?」という2つのことを考えていくことなのです。





■お客さまの「ニーズ」を考える!

「欲しい物ってありますか?」という高橋先生の問いに手を上げたのは、全体の3分の1ぐらい。意外と欲しい物って思い浮かばないものですよね。

「今の消費者って、ありとあらゆるところにものが溢れているし、たいていの人は家電など必要なものは一通り持っている。だから、ニーズが顕在化していないんですよ」(高橋先生)。



さて、その「ニーズ」とは? それは「欲しいと思う気持ち」。現在の状態と理想とする状態の間にギャップを感じていないと、生まれないものだそう。



たとえば、塾生の遠藤さんが欲しいという「冷感シーツ」について考えると、それがほしい理由は「安眠したいから」。

そのことへの解決策は、実はシーツAとシーツBだけでなく、ジェルマットかもしれないし、快適な扇風機かもしれない。その中から消費者はコストや効果を併せて考え、商品を選んで買います。また、商品を売るためには「人の気持ちを動かさないと」と高橋先生は続けます。



「人が物を買う時って、見ているうちに『これもいいかな、あれもいいかな』と楽しくなってくる。そんな気持ちの盛り上がりが必要なんです」(高橋先生)

情報を出して盛り上げることが必要なんですね。





■考える順番を変えてみよう!

お次は、マーケティングで言うところの4つの「P」のお話。それは、「Product(商品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(広告・宣伝)」。この4つを考えることが事業では大切です。

その解説の前に、まず高橋先生が教えてくれたのは、価格や販路を決める際に考える順番。通常は、「この商品をどうやって売るかを決める」のですが、順番を少し変えて「差別化」「コスト」「販路」から考えると、売り方の違いがよりはっきりと認識できます。各ポイントでの高橋先生のお話をまとめました。



1)差別化 (商品→広告・宣伝→流通→価格)

「どうしたら高く売れるかを考え、最後に価格を決める」というやり方。良い商品というのがまず大前提。ただ、よく「うちの商品はすごくいいから、それを伝えれば高く売れる」と言う方もいますが、お客さんから見て圧倒的な差が見えないと、それほど高くは売れません。

例えば数年前に発売されたしっとりした触感のティッシュは、店頭で「触ってください」と体験してもらえるほど差がある圧倒的な「商品」。それぐらいの差を、消費者の人が「なるほどね」と体感できる場があって、初めて売れるのです。





2)コスト (価格→商品→流通→広告・宣伝)

これは「この価格で売るのはどのようにすればよいかを決める」というやり方。100円均一の店は「価格」を軸に展開している業態で、いくら買っても安心な価格の低さが魅力。その価格の中で「こんなものもあるんだ」という珍しい商品を作っています。その上で、主婦のアミューズメントパークと呼ばれる通り、見ていて楽しい売り場を作っています。





3)販路 (流通→商品→価格→広告・宣伝)

「このルートで売れるものをいくらで売るかを決める」という考え方。たとえば「マルシェ」に出店する場合、その場所にふさわしい商品、それに合った値段を、その場の消費者のニーズに合わせて決めていきます。



商品や自分たちの状況によって考える順番は変わるんですね。どのように売っていけばいいのか、ヒントになりますね!





■4つのPについて詳しく考えてみよう!

さて、高橋先生の次のお話は、「Product(商品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(広告・宣伝)」について。それぞれのポイントをまとめましたよ!



1つめのPは「Product(商品)」。生鮮品を例に取り、その「商品特性」について考えてみると・・・生鮮品はドレッシングなどの加工品と比べ購入頻度は多く、半面、物流はチルドになるなど専門性が高くなります。その特性から「競合」は流圏内で出荷時期が重なる生産者だけ。なるほど、自分の商品の特性を考えると強みと弱点が分かってきますね。



2つめのPは「Price(価格)」。要素は大きく3つ「お客さまが求める価格」、欲しい売上と客数を考慮した「売りたい価格」、競合他社に対抗できる「競争上必要な価格」。

特に「お客さまが求める価格」に関しては、「毎日スーパーに行っていたら、商品が高いか安いかはすぐ分かるよね?」と高橋先生の言う通り、食品や日用品は10円高くなっただけでも消費者はすぐに気づきます。みなさんの商品の適正な価格はいくらでしょう?

3つめのPは「Place(流通)」、つまり売り場です。何でも一か所で揃う「総合スーパー」、食料品に特化し価格が魅力の「食品スーパー」を始め、「百貨店」「コンビニエンスストア」「八百屋」「直売所」など、売り場にも様々な種類があります。最近増えてきている「ネット通販」の店舗は、Yahoo!にはなんと31万店もあるのだとか。



「消費者はニーズによって売り場を使い分けています」と高橋先生も言われましたが、自分の商品特性によって、この「お店を置く場所」も変わってくるのですね!



最後のPは「Promotion(広告・宣伝)」。テレビや新聞や雑誌などの広告、PR会社を使ったプロモーション、店頭でのPOPやイベントなどの販売促進(セールスプロモーション)や人的プロモーションなど、さまざまなやり方があります。

中でも、なぜ店頭でのセールスプロモーションが必要かというと、じつは来店前から買うことも銘柄も決めているのは11%ほどなのだとか。その場で「買いたい」という気持ちになって購買に繋がるケースが非常に多いんですね。



今回も盛りだくさんだった内容に、講義の後も質問が絶えなかったのでした。
そして、講義が終わってもグループごとに分かれて熱く話し合いを続けているのは、「ヒルズマルシェ」への出店を控えているから。

次回はその「ヒルズマルシェ」の模様をお伝えします!

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