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女性農業コミュニティーリーダー塾 実践編
東京会場 第1回講義レポート
リーダーシップは鍛えることができる!?

2019.08


女性農業コミュニティーリーダー塾 実践編では「コミュニティ活動をリードするノウハウ」「ヒューマンスキル」を全5回で学びます。今回は、8月8日に行われた「ヒューマンスキル」第1回講義の模様をレポートします。


■課題図書をベースにディスカッション

講義を担当するのは、高橋和美先生。20年に渡り、コンサルティング・研修に携わる高橋先生は「自分らしく生き生きと働く」ことをキーワードに、個人の実現、生産性の高い強いチームづくりの支援を行っています。まずは、事前に読んでおくよう宿題が出ていた課題図書「『一緒にいたい』と思われるリーダーになる。」についてグループでディスカッション。
この本を読んで、何を感じたのか? ディスカッションでは、各自の「リーダー像」について、1人ずつイメージを伝えます。その後、全員でディスカッションしていくグループディスカッション。


相手の意見に対し「もう少し聞かせて」「私もそう思った」など、自分の思いを伝えます。また、「特にこの人の意見について訊ねたい質問がある」「伝えたいことがある」など、取りまとめ役が話を振りながら進めます。

グループディスカッションが終わると「どんな意見が出たか」取りまとめ役が発表し、それを受けて高橋先生がまとめます。

「リーダーシップは生まれ持ったものと思われがちですが、鍛えることができます」

要は筋トレと同じとのこと。「自分が何をしたいかにより、鍛える筋肉は違います。それには人からの意見が役に立ちます。「ここは大丈夫」「ここは全然できていないな…」と、気づくこともできるので、聞く姿勢も大事なのですね。また、筋肉は使い続けないと衰えてしまうのと同じで、続けることも大事なのです」。


■女性がメモすることの大切さ

「女性は男性に比べ、人生の役割のロールが多いと言われています」(高橋先生)

女性は、1日の中でも役割が目まぐるしく入れ替わります。自分の作業をしている時は、仕事バージョンの「私」。仕事が終わった途端に「お母さん、お腹すいた」「◯◯どこ?」など、家族の中心としての役割が待っている人も多いのではないでしょうか。ほかにも、地域の女性たちとのコミュニティに参加したり、PTAの役員をしていたり、地域のリーダーを任されていたり、女性たちは実に多くの役割を担っています。

仕事バージョンの「私」、母バージョンの「私」、妻バージョンの「私」、地域のリーダーとしての「私」…。そんなふうに、息をつく間もなく役割が変わると、さっき考えていたことや、せっかく思いついたことも、慌ただしさの中でどこかに消えてしまうことも多々あるのでは?

だからこそ何かに書き留めておくことは、とても大事。そういった理由から「ヒューマンスキル」のテキストには、自分で書き込むページが設けられています。


■リーダーシップスキル5段階とは?

ディスカッションに続いては「リーダーシップスキルの5段階」についての講義。リーダーシップスキルには次の5段階あると言われています。

  1. ① パーソナルスキル:自己変革に関する能力。自分の得手不得手を把握し、周囲に誤解なく表現するスキル
  2. ② インターパーソナルスキル:対人関係に関する能力。一対一で関わる「人間力」です。
  3. ③ グループスキル:チーム全体を導く運営スキル。ファシリテーション能力が求められます。
  4. ④ インターグループスキル:集団同士を繋ぐスキル。組織は連携があってこそ、ダイナミックさが生まれます。
  5. ⑤ オーガニゼーションビヘイビアスキル:今ある集団を結びつけるだけでなく、意図的、戦略的に組織を動かし、活性化させるのが最終段階です。

育成塾では、①、②のスキルの筋肉を鍛えていきます!


以前はリーダーの考えに合う人だけが組織に残ると言われていましたが、今は、いろんな価値観の人がいるからこそ、新しいアイデアが生み出されると言われています。組織やリーダーシップの在り方そのものが変わっているのです。

多様な人が集まる組織で、同じ目標を目指す時は「人はそれぞれ違うんだ」という感覚を持つことが大事。自分の思いや価値観、強みを自分で知っておく必要があり、また、相手の価値観を受け止めるスキルも必要。その際に使われる「Face to Faceのコミュニケーション」では、まず「視覚面」、次いで「語調」が、大きく影響するという実験データが出ています。話す内容以上に、「どう見えているか」の印象管理、「どう受け取られるか」の語調も磨く必要がありそうです。

リーダーは一挙一同、自分で思っている以上に、常に見られているもの。真剣になるほど怖い顔になったり「話しかけるなオーラ」が出てしまうことにも注意が必要。この塾では、そういった細かな注意点もフィードバックしていく方針であることが先生から語られます。

ということで、この後は「私の人生観 ~使命、大切なもの~」についてグループワーク。人生のイベントを時系列で模造紙にまとめ、モチベーション曲線(やりがいに満ちているかどうかを表す線)で表現し発表しました。

ディスカッションの最後は、自分と向き合う時間。自分が把握したそれぞれの軸や大切なもの、行動の原動力のようなものを言語化して、書き留めておきます。

講義の最後は、高橋先生の言葉で締めくくりとなりました。

「『偶発性のキャリア』ということが今、言われています。思い描くようには行かないけれど、それには意味があり、それをどう活かすかは自分次第だという考え方です。その時は苦しくても、今思えば経験になったということも、皆さんはお持ちですね。そういうマインドを次の世代に伝えて欲しいし、まだ乗り越えられてない方を巻き込んでいって欲しいです」。