女性農業コミュニティーリーダー塾 実践編
大阪会場 第1回研修レポート
「いいね!」から一歩踏み込んだ質問を
2019.08
2019年8月22日・23日、女性農業コミュニティーリーダー塾 実践編の第1回目が大阪会場で行われました。
全5回にわたる当研修で学ぶことは、大きくわけて2つ。
・課題を解決し、目標を実現させるための「コミュニティ実践ノウハウ」
・自らを楽しみ、魅力あふれるリーダーになるための「ヒューマンスキル」
初日は「ヒューマンスキル」を中心に、高橋和美先生の講義です!
■相手が「何を大切にしている人か」を知ろう
まずは、本を読んでのグループディスカッション。事前に読むように課題図書となっていた「『一緒にいたい』と思われるリーダーになる。』(ダイヤモンド社)について、1人ずつ「自分の思うリーダー像」を発表し、その後に意見交換を行います。
この本の中身は、絵本のような構成で「子どもたちが理想の公園をつくり上げていく」というストーリー。著者のサイモン・シネックさんは、組織づくりのコンサルタントとしても非常に有名な方で、シンプルな言葉でたくさんの人の心を動かしてきました。
今まさにリーダーとして走り始めたみなさんには、響くところもたくさんあるでしょう。
前のめりで本の感想を語り合う塾生に、高橋先生からひとつアドバイスが。
「必ず『どこがよかったのか』『どのように感じたのか』と具体的に質問し、相手が『何を大切にしている人なのか』を理解していきましょう。漠然と『これいいね!』だけでは相互理解とは言えず、課題解決に向かうときにすれ違いが出てしまいます」
高橋先生曰く、人によってモチベーションの源=ヤル気のスイッチは違い、16通りもあると言われているそうです。相手のスイッチがわかってこそ、コミュニティの運営も円滑に行えるのですね。
■人を惹きつけるのは言葉よりも見た目と…?
ここからは、また講義。実はリーダーシップと一口にいっても、必要な能力は5段階に分かれるそうです。
- 1 自分を動かすための「パーソナルスキル」
- 2 他人とうまく関わるための「インターパーソナルスキル」
- 3 チームを運営していくための「グループスキル」
- 4 集団と集団同士を協働させるための「インターグループスキル」
- 5 いつもの組織を統合・活性化するための「オーガニゼーションビヘイビアスキル」
段階が進むごとに関わる人も増えていくイメージですが、この研修ではすべての土台となる1、2のスキルを中心に鍛えていきます。
こんなに段階があるのか……とちょっと不安げな塾生たちでしたが、高橋先生は笑顔でこう言います。 「リーダーシップのスキルは“筋トレ”と同じで、いつからでも鍛えられるんですよ!」
筋肉といえば、腹筋や背筋などのパーツにわかれていますよね。では、リーダーシップの場合はというと? 主に、自分の想いを伝える「発信力」と、相手の考えを受け止める「受信力」があるそうです。これをバランスよく鍛えていくことが大事なんですね。
発信や受信というと、つい「言葉」を思い浮かべてしまいがちです。しかし、コミュニケーションへの影響力をあるデータから読み解くと……
- 1位 視覚(55%)
- 2位 声のトーン(38%)
- 3位 言葉・内容(7%)
というわけで、なんと「非言語」が、93%も占めていることがわかります。
大阪会場では「自分のことを話すのが苦手で…」と塾生からの声もあがりましたが、心配無用。“トーク”や“文章表現”が苦手でも、他の「筋肉」でカバーしながら、魅力あるリーダーになることは充分可能なのです!
非言語のサインは、わたしたちが聞き手のときにも「発信」しています。
イスから身を乗り出して「関心」を
タイミングよくうなずくことで「同意や理解」を
首をひねることで「不賛成」を
時計に目をやることで「退屈」を
「今日の会議は話しづらい…」というときは、このような非言語のサインを目にしている場合もあるかもしれません。
さて、みなさんの場合はいかがでしょうか? 自分の意図と違う「非言語のサイン」を知らずに発信していなかったか、などを3分間でグループのメンバーと話し合います。
この研修では講義の合間に「自分がどう感じたか」「この先にどう活かしたくなったか」などをこまめに設けていきます。立ち止まって考えることで、学んだことが流れてしまわず、みなさんの血肉になっていくんですね。
■自分が「人生で大切にしてきたこと」を知る
この後は、「私の人生観 ~使命、大切なもの~」についてのワーク。大きな模造紙に、これまでの人生で起きた体験を時系列で書きこみ、モチベーションのアップダウンを曲線で表現します。そこで見えてくるのは、自分が人生で大切にしているもの。譲れないもの。
まずは高橋先生が、簡単なデモンストレーションを行いました。
今までの人生を振り返る……という壮大な作業に、最初はみなさん戸惑っていたようす。しかし、書き出したらあんな出来事、こんな出来事があふれて止まりません。30分ほどかけて完成したのは、まさにそれぞれの人生を濃縮した「自伝」のような曲線グラフ。
グループ内で発表後に、他のメンバーからの感想や質問を受けます。価値観の違うメンバーからの感想に、「自分の選択に少し自信が持てるようになった」という塾生も。「お互いを深く知ることができたので、次からのグループワークはもっと踏み込んで話せそうです!」と笑顔がこぼれる一幕もありました。
講義の〆は、恒例となりそうな「あいさつ+1アクション」。
毎回塾生の中から1人、あいさつの担当者が「起立、礼」の後に、自由なアクションを加えます。この日は、ハイタッチ!
リーダー塾2期生の絆づくりも、順調の兆し!
2日目は、「コミュニティの実践ノウハウ」を教えてくださる金子和夫先生のもとで、コミュニティの現状と課題の把握などを行いました。 「受信力と発信力」「理論と実践」をぐんぐん吸収していく、みなさんの成長から目が離せません!