リーダーに欠かせない「人間力」の磨き方
2020.10
自分の弱さをさらけだすほど、仲間はついてくる!?
ついにスタートした令和2年度の「女性農業コミュニティリーダー塾」の実践編。会場で学ぶ「集合型クラス」は全5回、オンラインで学ぶ「リモート型クラス」は全10回の研修を行います。
今回は、8月27日・28日の第1回集合型クラスで行われた、高橋和美先生による「ヒューマンスキル」の研修をレポート。 リーダーシップに欠かせない「人間力」を磨くため、本日のテーマは『自分の根っこを探る、お互いに知り合う』です。
塾生同志が“仲間”として「お互いを理解し合う」ことに加えて、忙しいくしていると、ついつい疎(おろそ)かにしがちな「自分との対話」についても深く掘り下げていきます。
約6時間の講義の中では・・・
・「ジョハリの4つの窓」
・非言語のコミュニケーションについて
・5段階のリーダーシップスキル
・自己承認欲求の源とは?
といった内容について学んでゆきます。どれも明日から実践したいことばかりでしたが、なかでも特に白熱したワークを厳選してレポートします!
リーダーに必要なのは「同感」か? 「共感」か?
そもそも「リーダーシップ」とは、何なのでしょう。先頭に立って、仲間を引っ張っていくこと? 上から指示を出すこと? まずは自分が理想とするリーダー像について、考えてみることに。 そこで課題図書となったのが、1冊の本。サイモン・シネックの『「一緒にいたい」と思われるリーダーになる。人を奮い立たせる50の言葉』です。
サイモンさんは、古いリーダーシップの概念をくつがえす革新的な視点で、ディズニーや国連などにも影響を与えてきました。 本書では、「まず誰かが勇気を出して弱さをさらけ出すことで、周りの人もリスクを獲ろうという気になる。そこに人が集まって、大きな力が生まれるのだ」と説いています。
そこで塾生のみなさんには、事前に本を読んできてもらい。
①印象に残ったフレーズとその理由
②リーダーとはどういうものか
という視点で、班ごとにディスカッションしていただきます。
今日の研修は、A班、B班の2班に分かれています。班をまとめるリーダーは「この人にお願いしたい」という相手を「せーの!」で、ゆび差し指名。 こういう遊び心を織り込むことで、普段は硬くなりがちなシーンも和やかに進めていけるのですね。
開始早々、積極的な意見が飛び交います。 「リーダーは、親と似ている。自分の子どもたちも一人ひとり個性が違うように、それぞれを尊重して活かす。それがリーダーシップにも繋がるのでは?」という親御さんならではの発言が飛び出したり・・・
「“わくわく”や“楽しさ”というゴールを仲間にどう見せられるかが、リーダーの腕の見せ所!」という声も。 同じ1冊の本を読んでも、感じることは人それぞれ違う。そして、理想とするリーダーシップの形も人の数だけあるようです。
この様子を見ていた高橋先生。ホワイトボードに、「同感」と「共感」という2つの言葉を書きました。「この2つの違いが分かりますか? 自分と相手の意見を同じにしようというのが『同感』、互いの意見が違ってもそれを理解し合うのが『共感』です。意見や考えを押し付ける『同感』では、お互いがツラくなり関係性も続きません」。
心当たりがありそうにうなずく塾生のみなさん。「わたし、夫に対して同感を求めていたかも・・・」という苦笑いも。 「今のディスカッションのように、まずお互いの考えが違うことを認め、そこから相手への理解を示していく『共感』が、円滑なコミュニケ―ションには必要になります」と、高橋先生。 このようにワークを通じて“体感”することで、ヒューマンスキルを徐々に獲得していくのですね。
自分の「人生グラフ」を仲間と共有しよう
さて、後半戦。高橋先生から新しい言葉が飛び出しました。
「ストローク=心の栄養 を満たしましょう」
人間は他者との関わりの中で「自分を知ってほしい」「認めてほしい」という欲求を無意識に抱いているそうです。それを満たす働きかけを心理学では「ストローク」と呼びます。 ストロークを得ると、安心感や充足感を得ることができ、「やる気」や「やりがいの源」にも繋がるそうです。
そこで、再びワーク。自分の人生をグラフ化した「ライフライン」で、それにまつわるストーリーを班の仲間と共有してみましょう。
人生を振り返ることで、リーダーシップに必要な「パーソナルスキル」=自分と関わる能力を引き出します。また、相手と人生を受け止め合うことで、たくさんのストロークを生みだしていきましょう。
まずは、高橋先生によるライフラインの実演。横軸は年齢で、左の起点を「誕生」として右側の「未来」に向かっていきます。縦軸は、上が「人生最高潮」下がいわゆる「どん底」の状態です。
ライフラインが変化するポイントで何があったのかを言葉で補足していきます。「まだ自分で整理できていないこと、言いたくないことは、無理に話す必要はありませんよ」と高橋先生。 学生時代に夢中になった部活動、家族のこと、仕事のこと、グラフの線が変わるところにドラマがあり、先生の人生を追体験しているようです。会場のみなさんもぐいぐい引き込まれていきます。
雰囲気がつかめたところで、みなさんもそれぞれ模造紙に自分のライフラインを書いてみましょう!
15~20分の時間をかけてライフラインを書き、最後に「川柳」で自分の人生にタイトルをつけていただきます。 あえて川柳で文字数を制限したのは、「言葉を選ぶことで人生を客観視でき、相手に伝えやすくなるから」だそうです。
会場が急に静かになりました。みなさん、黙々と自分の人生と向き合っています。
ライフラインが書けたら、班内にて1人10分で発表。聞き役のメンバーは、本人が気づいていない点も含めて、感想や気づいたことをフィードバックします。 「過去に〇〇があったから、今の〇〇がある」というように、仲間の選択や行動を肯定していくのです。
たとえば、「自分が未熟だったから続かなかった」と本人は悔やんでいても、「人をひきつける話し方ができるのは、きっと当時の経験が活きてるのでは?」というメンバーの言葉で、 「経験はムダではなかった!」と気づけた塾生さんもいました。
「70歳になっても、80歳になっても、大きな夢を描けるのはすてきなことだな」と、発表者のエネルギーに魅力を感じたという声も。
リーダー塾には、幅広い年代の女性が参加しているので「親の視点」や「子どもの視点」からのフィードバックもあり、新たな発見があったようです。
自分の根っこを知ることは、自分が培ってきた「魅力」「財産」を知ることになります。それが、「自分がどんなリーダーになっていきたいか」という目標にも繋がっていくのですね。
互いの人生を共有したことで、メンバー同士の距離間も一気に近づきました。
充実した初日に続き、2日目には、金子和夫先生と林聖子先生による「コミュニティ」や「ワークショップ」についての研修が行われました。 これからみなさんが、どのようなコミュニティづくりを目指していくのか、とても楽しみです!