人生グラフを読み解くには“どん底”を見よ!
2020.11
人生グラフの読み解き方
コミュニティの仲間を集めるには「自分の想いを伝える」技術も必要!
10月5日に行われた「女性農業コミュニティリーダー塾」実践編、リモート型クラスの第2回研修では、想いを伝えるために必要なステップを学びました。
「わたしは口下手だから…」という人や、「対面で人と会う機会が減った…」という人も心配ご無用! この技術は、性格や年齢、置かれた環境に関係なく磨いていけるものなのです。
10月5日に行われた「女性農業コミュニティリーダー塾」実践編、リモート型クラスの第2回研修では、そのために必要なステップを学びました。
高橋和美先生のヒューマンスキル講義では、まずは自分を知るための「私の根っこを探る」というテーマ。 金子和夫先生と林聖子先生の講義では、「わたしの想いを描く」というテーマで、自分の想いを身近な仲間と共有するためのノウハウを習得していきました。
はい上がり方に“その人”が現れる
前半は、高橋先生の「私の根っこを探る」研修です。
研修には「ライフライン」というグラフを使います。 これは、今までの人生で経験したモチベーションの上下を折れ線グラフにして、変化のポイントで何があったかをキーワードとして書いていくものです。
個人演習として20分間でグラフを作成した後にグループに分かれ、40分間かけてお互いのグラフを発表し合います。
これは、自分の価値観や強みを知る目的もありますが、グラフを他のメンバーと共有することで「価値観の違い」にも気づくことができます。
互いの理解を深めるためのポイントを高橋先生が説明します。 「共有するときは、発表者に積極的に質問をしてください。特に、モチベーションが下降してから上がれるようになった理由に、その人の価値観が出ることがあります。 時間が解決してくれたのか、本人がスキルアップしたのか。色々な角度で聞いてみましょう」
リモート型クラスでは、オンライン会議システムのZoomを利用しており、グループ分けには「ブレイクアウトルーム」という機能を使います。 事務局の操作で、A班(4人)、B班(3人)、C班(4人)に振り分けられて、映像が切り替わるという仕組みです。
さすがに少人数になると、ざっくばらんで和やかな雰囲気。しかし、対面でのグループセッションと違い、各人がバラバラに会話することが難しい仕組みとなっています。 なので、自然と1グループで1つの会話にまとまり、話し合いを進めるためにはむしろ向いているかもしれません。
発表は1人10分前後の短い時間でしたが、塾生さんたちからは「普段は表に出さないけど、皆さん波乱万丈な人生を送っていることがわかりました。 考え方や背景がここまで違うと、普段の会話に対しての受け止め方もきっと違いますよね」という実感の声。 これを受けた高橋先生、「社会問題になっているハラスメントも、受け止め方のすれ違いが原因です。 あらかじめ相手を理解していれば、そのような摩擦も減っていくはずです」と、コミュニティの仲間と共同作業をする上で、相互理解の重要性を説きました。
成功コミュニティのキーワードは、若手女性/テーマ型/広域
後半は、金子先生と林先生の「わたしの想いを描く」というテーマの講義です。
9月14日に行われた第1回研修では、塾生の皆さんに、自分が属しているコミュニティの現状と課題を整理していただきました。金子先生がその結果を分析します。
「農業や集落において、男性やみなさんの親世代中心のコミュニティはすでに確立しています。また、農協や市場などのコミュニティは業界としての動きとなり、地域とは切り離して考えられることが多いです」
そこで、今後必要とされる「3つのコミュニティ」が挙げられました。
1つ目は「若い女性が活躍するコミュニティ」で、最近成功しているパターンだそうです。2つ目は集落でイベントなどを実施する「新しいテーマ型のコミュニティ」。 そして3つ目は、全国や県単位などの農業女子コミュニティと身近な地域を繋ぐ「外部と連携した広域コミュニティ」だそうです。
それぞれのパターンを成功させるために、どのような仲間づくりを行ったかについても、各地の実例をもとに解説がありました。
最初は公民館に通って女性の協力者を探し、見事トマトで地域を活性化させた「企業組合遊子川ザ・リコピンズ」の辻本京子さん (過去記事参照=https://www.jma.or.jp/kagayaku-nj/news/report/article072.html)。 都市部の企業と農山村との交流で、お互いが抱える課題を解決させた「NPOえがおつなげて」の曽根原久司さん (過去記事参照=https://www.jma.or.jp/kagayaku-nj/news/report/article078.html)など、 みなさん自分の熱い想いを周囲に伝播させて、大きな活動に広げていきました。
オンラインでのワークショップに「可能性」を発見!
では、「農産物をブランド化したい」「マルシェを開きたい」など、今はまだ個人で温めている想いは、これからどのように周囲に伝えて共有していけばよいのでしょうか?
金子先生によると、身近な仲間と想いを共有するために有効なのが、カードを使ったワークショップだそうです。
「ワークショップとは、主体的に参加したメンバーが協働で作業することで、一人ではできなかった新しい発見や学びを得る場所です。
メンバーから出た意見をすべてカードに書いて『見える化』することで、ポジティブな意見交換が可能になります」
ワークショップを成功させるために、次のことも心掛けましょう。
- ・当事者意識を持つ人を集める
- ・あらかじめ目的を決めて参加者と共有する
- ・プログラムと時間を決め、それを守る
- ・話しやすい雰囲気づくり(場所、お菓子など)
- ・ワークショップ終了後はやりっぱなしにせず、かわら版などで情報共有する
さぁ、いよいよ実践スタート。
前半と同様3班に分かれ、講師陣もそれぞれのブレイクアウトルームに入ります。 まずは、メンバーの中から「進行役(タイムキーパー)」と「記録係」を決めます。 そして、あらかじめ指名された「発表者」が“将来こんな状態になっていたい”という想いを事前に描いた絵と共に発表。 他のメンバーは参加者役となり、「〇年後に〇〇を〇個つくる」など、その想いが叶ったときの詳細で具体的な状態を意見として出していきます。 意見は1人につき5枚の緑色のカードに記入し、ボードに貼り付けていきます。
今回は、「Jamboard(ジャムボード)」というツールを使って、オンライン上でのワークショップに挑戦!
Jamboardとは、Google が提供するインターネット上のホワイトボード。 オンラインの仲間とリアルタイムで、そこにテキストを描いたカードを貼ったり、カードを動かしたり、ペンツールで印をつけたりすることができます。 つまり対面と同様の作業が可能になるのです。
意見を出し終えたら、進行役のリードで一人ずつカードを読み上げて、似たカードを同じ場所に集めていきます。 集めたカードのグループには、それをまとめるようなキーワード(サブタイトル)をピンク色のカードに書いて貼り、グループを線で囲みます。
馴れない作業は、できる人が替わってあげるなど、まさに「協働」の雰囲気。進行役が意見を出しやすいリアクションなどをしてくれるので、「わたしたちで新しい言葉を作っちゃおう」など独創的なキーワードがいくつも飛び出しました。 「予想外のアイデアが出てくるのは素晴らしい!」と金子先生。
Zoomのブレイクアウトルームは、利用時間が細かく設定できるので、時間の終了とともに強制的に班分けが解消されて全員の画面に戻ります。 実際のワークショップには、早く帰らなければいけない参加者も出てくるので、延長のできないオンラインならではの利点もありそうです。
ワークショップの後は、各班3分間で結果の発表をしました。林先生も、「みなさんから出た新しいアイデアは、女性農業者の活躍に繋がっていきそうですね」と大いに評価。 今回得た学びをみなさんのコミュニティで実践していただき、次回10月27日での研修では、いよいよ「身近な仲間を集める」フェーズに入っていきます!