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仲間を理解すると夢に近づく!?

2020.11

11月16日、女性農業コミュニティリーダー塾(リモート型クラス)の第4回研修が行われました。 6時間の研修のうち、前半は高橋和美先生による「自分や仲間を知るための性格分析」。 後半は、金子和夫先生による「私の想いを実現するために解決すべき課題を整理する」。 今回は、その模様をダイジェストでお届けします!


すべての人に「トリセツ」がある!?



みなさんは、複数の人に同じ説明をしたとき、すんなり一度で理解してもらえる場合と、そうでない場合がありませんか? それはもしかすると、自分と相手の「性格(パーソナリティ)」の違いが原因かもしれません。 性格とは、ものの見方や反応の仕方、思考や行動パターンなどを指します。

多様な人と関わるリーダーになった際、性格に応じて行動を上手に使い分けられれば、意思疎通や会議の進行もよりスムーズになりますよね。

高橋先生が今回の講義で用いた「エゴグラム」は、そのための便利なツールです。エゴグラムとは、カナダの精神療法医エリック・バーンが開発した性格診断法。 約50問ほどの質問に答えることにより、本来、捉えにくい「性格」というものを折れ線グラフのような形で視覚化し、自分の性格を客観的に捉えられるものです。

性格をつくる「自我」は、主に
P(Parent) 社会のルールを守り、相手を褒めたりする「親」の私
A(Adlt) 事実に基づき冷静に判断する「大人」の私
C(Child) 自由に振る舞ったり、素直に従う「子ども」の私
で構成されています。
この3つを細分化した5つの要素(CP・NP/A/FC・AC)を、解答の点数を元にグラフ化すると、性格がパターン化されて見えてくるという図式です。



「例えば、天真爛漫なFCタイプの人は、『上手くいくよ!』と感覚的に説明する傾向がありますが、それを客観的なAタイプの人が受けると『もっと論理的に説明してほしい』と戸惑ってしまいます。 同じ結論を伝えるにしても、相手によって言い方を変える必要があるんですね」(高橋先生)

実習で自分の性格パターンを理解した後は、同じ特徴を持った塾生同志がグループに分かれてディスカッション。



自分たちの強みや弱み、また普段はこう接してほしいという「自分たちの取扱説明書」を作ります。同じ性格の人が集まると、「あるある!」と同意のオンパレードで大盛り上がり!



最後は全員の前で、各性格の「取扱説明書」を発表しました。

「実はこの発表の順番も、性格を考慮するとよい意見が出やすいです」と高橋先生。 「決断力のあるCPの人から先に発表してもらうと、周りの空気を読みがちなACの人は『こういう風に話せばいいのか』と安心して発表できます」。

エゴグラムの考えを利用して、会議や仲間集めを進めれば、より一層充実したコミュニティがつくれそうですね。 というわけで、後半は金子先生がレクチャーしてくださる「コミュニティづくり」の具体的な方法にバトンタッチです!


「ワークショップ疲れ」を予防するシンプルな方法



今日は、「みなさんの想い」を実現するために、必要な課題を整理していく研修です。そこで会議の一手法として、 ワークショップを実施するのですが……「最近、コミュニティづくりでのワークショップが飽きられているという『ワークショップ疲れ』が勃発しています。 実施しても、結論が出なかったり、やりっぱなしになってしまうケースが増えているからです」と金子先生。

しかしそれは、間違ったやり方で行っているからだそう。 「本来ワークショップは、課題解決に非常に有効な手段ですが、同時に綿密な準備を必要とします。 失敗するのは、準備をおろそかにしているのが一番の原因です。今日は、準備のポイントもしっかり押さえていきましょう」。



まずは、大切なおさらい。コミュニティづくりにおいて、自分個人の想いからはじまる「みんなのビジョン」は、現状の客観的な「課題」や課題を解決するための「戦略」、 戦略を実行していくための「アクションプラン」などがあって、はじめて実現します。

「この成功への道筋は、大企業でも個人でもまったく同じです」と金子先生。

次回の研修では、いよいよ目標となる『みんなのビジョン』をつくっていきます。今回は、その元となる『自分の想いを実現するための解決すべき課題』を整理していきますよ!


ワークショップは自宅でなく…できれば会議室で!



ワークショップの利点は、筋書きのある会議と違って、今まで思いつきもしなかったアイデアや解決策が続々と飛び出すこと。 そのためには、当事者意識を持ったメンバーが自由意志で参加し、自由に発言できることが大切になってきます。 ただし、自由なだけでは結論がまとまりません。かじ取りをするためのファシリテーター(進行役)やしっかりとしたプログラムづくりが必須となります。

講義では「メンバーをどのように選ぶか」や「どんな時間配分でプログラムを立てるか」などの詳細な説明がありました。 中でも、意外とおろそかにできないのが「会場の選び方」だそうです。

「よく自宅でワークショップを開く人がいますが、家の場合は『その人のテリトリー』という先入観が働き、メンバーの発言にも影響が出てしまいます。 個人の影響が及ばない場所となると、カフェ……も考えられますが、会話が周りに聞こえてしまうので意見交換も委縮しがちです。 結論として使い勝手がよいのは、公共施設の会議室などが挙げられます」(金子先生)


投票で課題の優先順位を「見える化」


今回は、あらかじめ2名の提案者を決め、2グループに分かれてワークショップを行います。
提案者が「自分の想い」を語り、メンバー全員で「実現のための課題」について整理していきます。



金子先生からは、対面形式で行ったときの例を挙げて、進め方の説明がありました。

使うのは、写真のように大きな模造紙。一番上に「私の想い」を書いたタイトルを書き、黄色いカードにみんなで「課題」を書いて、読み上げながら貼っていきます。
そして似た分野のカードを集め、ピンク色のカードに「分野」の名前を書いて貼り、整理します。最後に、赤いシールで重要度が高いと思う分野に「投票」して完了。 これで、課題の優先順位が可視化されます。

今回は、オンラインのワークショップになるので、模造紙の代わりに「Jamboard(ジャムボード)」を使って進めていきます。 もう、リモート型クラスのみなさんには、お馴染みのツールですね!



林先生から、時間に沿って進行の説明がありました。

まずワークショップの最初に行うのは、
・進行役(今回は提案者が兼任)
・記録係
・発表係(最後に全員の前で総括を報告する)
の役割り分担をすること。

今回は、その役割分担から重要度の投票までを、少し短めの1時間で行います。
ワークショップのメンバーと共有するプログラムとは別に、主催者はこのような詳細な進行表を用意しておくと、慌てずにすみそうです。


しっかり準備 たっぷり収穫



さぁ、ワークショップのスタートです!
発案者が、「自分の栽培する野菜を使って新ジャンルの商品を作りたい」とスマホの画面を見せると、「おいしそ~!」「私もやりたい!」など身を乗り出すメンバーたち。 一気に当事者意識が高まりました。写真や絵、映像などのビジュアルと併用して想いを伝えることは、やはり重要です。



「まとめると、こういうことでいいですかね?」
発表者が時折みんなに意図を確認しながら、意見出しや分類を進めていきます。

課題は「周囲の産地との差別化」「作付けの年間契約」「農協との連携」など、農業に携わるメンバーだからこその具体的なアイデアが飛び出します。

逆に、農業従事者以外のメンバーを募るという方法もあり、その場合は、消費者視点など外部から見た客観的な意見が聞ける傾向があります。



みんなから出た意見を分野ごとにまとめ……



赤丸のスタンプを使って、それぞれが「重要度が高い」と思う分野に投票!
周りの空気を読んで「忖度」しないように、一斉に投票することがポイントです。



最後は、発表者がグループごとの結果を全員に報告しました。
提案者は「自分が思ってもいなかった意見が聞けてよかった」と大満足でしたが、発表者も「周りと理解のすり合わせを行っていくことで、自分の思考の整理にもなり勉強になった」とにっこり。
他のメンバーも「自分の夢と重なる部分があって、参考になった」など、それぞれ収穫があったようです。



「いい場、いい仲間があつまれば、1時間ちょっとでもこんなに結果が出るんですよ。 スムーズに議論が進んだのは、お2人が『自分の想い』をしっかり固めていたおかげでもあります」と、金子先生。

次回の第5回研修は、いよいよ折り返し地点。
「自分の想い」を「みんなのビジョン」に広げる方法について、取り組みます。
年末の慌ただしさが少しずつ近づいてきましたが、自分のペースを見つけながら楽しく前進していきましょう!