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ビジョンを現実化! アクションプランの作り方

2021.3

2月22日、女性農業コミュニティリーダー塾(リモート型)の第8回研修が行われました。 前半は高橋和美先生による「自分の想いをプレゼンテーションで伝える」スキル、後半は金子和夫先生による「具体的な3つのアクションプラン」についてです。 研修は、今回を含めて残すところ3回。より実践的なヒントが散りばめられた時間となりました。その学びのハイライトをお届けします。


プレゼンする前に聞き手のポジションを確認すべし!



さまざまな人を巻き込んでコミュニティを成長させていくには、企画や事業について説明する「プレゼンテーション」の能力が必要となってきます。 行政や農協、飲食経営者など、業種の違いや経営陣や現場スタッフなど立場の違いを踏み越えて、どうすれば相手を動かすプレゼンができるのでしょうか。

前回の研修では、ジェスチャーや話し方などの「ステージ・スキル」を学びましたが、今回は構成力や論理性などの「シナリオ・スキル」を磨きます。 これには、導入、本論、結論というプレゼンのストーリー構成なども含まれます。「シナリオについては、事前準備でほとんど決まってしまいます。 しかし、逆に考えれば的確な準備ができれば、そのプレゼンは成功するということです」と高橋先生。では、どのような準備が必要なのでしょう?



「まずは、聴き手(ターゲット)の分析が重要です。当日話を聴く人は、どのような立場で、どのような内容を求めているのかを予想します」と、画面に次の3者を示す高橋先生。

  • 1 決裁責任者
  • 2 起案責任者
  • 3 実行責任者

組織内でのポジションが高い順から並んでいますが、実行部隊の3がターゲットの場合は、「実行のしやすさ・わかりやすさ」を伝えると興味を持ってもらいやすいそう。 また、稟議などで予算をとって企画を提案する2の起案責任者は、「新しい視点」に興味があるのでそこを推すとよいそうです。夢ばかりではなく、コスト面もあわせて伝えましょう。

最後に、トップである1の決裁責任者は、コストパフォーマンス意識がとても高いとのこと。 すでに成功事例があればそれを伝えたり、組織の方針と合っているかの整合性も重視しましょう。 たとえば、環境保全を大事にしている組織には、企画内容も環境によいものかどうか根拠を元に説明すると信頼を得られるそうです。


「●●しませんか?」行動を提案して確率を高めよう


「ただし、提案している内容のメリットが相手に伝わっても、その先の「行動」を起こしてくれるとは限りません」と、高橋先生は注意を促します。



行動してもらうためには、「まずは説明会に参加してみませんか?」など、プレゼンの中で「具体的なゴール=行動の提案」を示しておくと、その場で判断してもらえます。 いくつかの選択肢を示してあげられると、受け入れられる確率もアップするそうです。



コツを理解したところで、早速プレゼンの練習。2グループに分かれて、2名が10分間のプレゼンをします。 提案者はあらかじめ「社会福祉協議会のこういう役職の人に聴いてほしい」などと聴く人の属性を明示し、残りの聴き手はその人になりきって話を聴きます。



聴き手は、これまで習った「ステージ・スキル」「シナリオ・スキル」「プレゼンス」を評価できるフィードバックシートをもとに、提案者に改善のポイントを伝えていきます。 プレゼンが終わり、聴き手からは「『少子高齢化』という言葉だけではなく、実際で目で見たり体感したことが入っていて説得力があった」、 「あなたは本来元気な人だから、もっと元気に話してもいいんじゃない?」など、技術的な面だけではなく、塾生それぞれのキャラクターに踏み込んだアドバイスも交わされました。 これは、何度も顔を合わせている仲間同士だからこそ気づけることですね。

聴き手の個性についても、高橋先生はこれまで学んだヒューマンスキルが役立つと言います。「エゴグラムで相手の分析をして、加味するといいですね。 男性の場合はAとCPが優先されることが多いので、感情で訴えても通じづらいケースがあります。事実と明確なゴールを明示しましょう」


夢で終わらせない 具体的な「行動計画」を作ろう



後半は、金子先生の講義。前回のワークショップで整理した「ビジョン実現のための戦略とアクション」を、いよいよ「実行可能な行動計画」として落とし込んでいきます。 今回も2つのグループに分かれてのワークショップです。



「これまで戦略としては、『情報発信』や『商品戦略』、『〇〇カフェのブランド化』などさまざまな分野が出てきました。 その中で最優先する戦略を決め、具体的に重要な3つのアクションプラン(行動計画)に絞り込んでスタートさせる。そのプラン作りが今日に当たります」(金子先生)

昨年の例をもとに、具体的なプランの作り方を説明する金子先生。 まず「カフェのブランド化」という戦略のままでは漠然としているので「メニューづくり」「スタッフ集め」「情報発信」など、重要そうな3つの観点で切り分けてみます。 どんな3つの要素がそろえば、そこが「場」として動き出すのかをイメージするとよいそうです。



「メニューづくり」というアクションプランが決まったら、それを5W1Hのような具体的な計画に落とし込んでいきます。

  • ・何をするのか…… 例)試作する素材の掘り起こし
  • ・誰が誰と(巻き込む人)…… 例)チーム〇〇がソムリエや料理に詳しい人などと
  • ・いつまでに…… 例)来年の3月までに
  • ・どのくらい…… 例)新メニュー20種類

これらをどのような形式で整理すればよいかは、林先生が以下の図で示してくれました。ポイントは、着手する順番に左から時系列で並べていくこと。



「アクションプランは『行動計画』なので、ビジョンではなく『具体的にやること』に徹底してください。ただし資金調達については、次回にあらためて考えることにしましょう」(金子先生)。 目的が理解できたところで、2つのグループに分かれて「アクションプランづくり」のワークショップ開始です!


何をやるために集まるのか? 目的、定義を明確に



A班では、アクションプランの1つに「定例会の開催」を挙げていましたが、早速「何のために行うの?」と金子先生からツッコミが。 提案者が「〇〇をするためにやりたいんです!」と答えると、「では、それは新しい企画に人を巻き込む感じだから、会は楽しくないとね」と金子先生。 すると、塾生の一人が「だったら名前は、『定例会』という硬いものより『月1回の女子カフェ』などのやわらかいものがいいね」とアイデアを出し、会の名前が決まりました。 また、売りたいものについて「都市部の価格帯がわからない」という課題が出れば、「だったら、定例会で東京に視察に行くのはどう?」など、計画がさらに発展していきます。 このように、活発な意見交換によってアクションプランが具体化していく様子には、目を見張るものがありました。

「定例会や会員制度などは、よく使われる手法。だからこそ、曖昧な目的ではじめないように注意が必要です。 会員なら、その人たちは購入をしてくれる人なのか、共に活動してくれる人なのか、もしくはそれが一体となった独特な形なのか、定義を明確化しておきましょう」(金子先生)


「誰が」を意識することで必要な準備がわかる



B班では、提案者の農園でスタートさせる「新しい取り組み」が、アクションプランの1つとして挙がっていました。 参加者の塾生が、「それには誰に来てほしいの?」「どんな物を使って参加してほしい?」と質問を投げかけていくと、想像以上に安全対策や対応内容が多岐にわたることがわかりました。 「じゃあ、スタッフ用の『お客さま対応マニュアル』が必要だよね」と急遽、新しいアクションプランにマニュアルづくりが加わることに。 「せっかくなら、マニュアルもスタッフが楽しめるものだといいよね」と、関わる人全員が喜びを感じられるような計画になりそうな予感です。

白熱したワークショップが終わり、各班の提案者からは次のような力強い感想が飛び出しました。 「最初はボヤっとしたイメージだったけど、やるべきことがクリアになり仲間の頼もしさを感じた。 半年でやりきりたい!」「できるかな?と思っていたことが、実現可能なレベルまで持っていけるのがこのワークショップのいいところ。 『いつまでですか?』など、お尻を叩かれる仕組みなのもよかったです(笑)」

次回は、いよいよアクションプランの到達目標値を定めて、計画を完成させます。最終回に発表していただくみなさんのアクションプランは、どのような内容になるのか、今から楽しみです!