これが私のビジョンと行動計画です! 最終研修レポ
2021.3
3月8日・9日、女性農業コミュニティリーダー塾(集合型)の最終回研修が行われました。 ここでは、みなさんがこの半年間で練り上げた「ビジョン」と「アクションプラン」をプレゼンテーションしていただきます。 心なしか、普段よりパリッと気合の入った服装の方もいて、いい意味で緊張感の漂う会場です。
事務局のオリエンテーションの後、金子先生がプレゼンに臨む心構えを示します。「今日は、事業提案のコンペ本番のつもりで発表してください。 地元で、もしくはこれから巻き込みたい相手を前にしていると思ってくださいね」。発表は1人15分。 その後に塾生2人からの感想とアドバイス、最後に講師陣からの講評という流れです。それを30分1セットとして、9人分行いました。
各講師の評価のポイントは以下の通り。林聖子先生=「社会的意義、人材確保、仲間づくり」。 高橋和美先生=「プレゼンスキル」。金子和夫先生=「新規性、実現性、事業費の確保」。以上の観点からチェックします。
新型コロナウイルス感染症対策に注意を払いながらの進行。プレゼンで想いを伝えるには顔の表情も大切な要素ですが、今回はマスクを着用したまま行いました。 プレゼンの詳細は、塾生のみなさんが大事に温めている「企業秘密」のため、その詳細は公開できませんが、できるかぎりその様子をお届けしたいと思います。
私たちの地元といえばコレ!と誇れる銘菓をつくりたい
(西里奈保子さん)
西里さんは、あるお客さんの困りごとから、奈良のまちを代表する銘菓をつくろうと思い立ったそうです。 花や風景などイメージを掻き立てる写真を使いながら、ゆっくりと聞きやすい話し方で、聴く側の心を動かしました。 最後に、仲間に加わってほしい人のイメージを多く上げることで、気軽に参加できる雰囲気づくりにも成功。
学びと楽しさの宝庫である農業をもっと身近に
(佐藤佑美さん)
新潟県長岡市のアクティブ世代の女性と共に、子どもたちにつなげられる未来をつくりたいと考える佐藤さん。 「『土は汚くない』ということを就農してから知りました。田んぼには生き物もやってくるし、主体的な学びの宝庫なんです」と、ジェスチャーを交えつつ笑顔で語る姿に、引き付けられます。 すでに進行中のイベントなど、活動の実現性もしっかりアピール!
人生100年時代の「後半」を満喫できる場づくりを
(齋藤和子さん)
「私はね、このリーダー塾に入ってから、また生きがいができたんですよ」と切り出した齋藤さん。 現在神奈川県で開いているお店に、たくさんの「人生の後半を楽しむ人」が集まっていると慈しむように語ります。 その人脈を基盤に、新しく始めたい3つの取り組みを紹介。人柄を前面に出した型にはまらないプレゼンに、ご本人の懐の広さを感じさせられました。
柑橘「サワーポメロ」の魅力を発信したい!
(西美香さん)
鹿児島県を代表する、目を見張るほどの大きな柑橘「サワーポメロ」。西さんは、地域の活性化も視野に入れて、この柑橘のPRや消費の拡大についてのアクションプランを語りました。 プロジェクタを使ったプレゼン後は、聴き手と講師陣に実物のサワーポメロが配られるというサプライズも! 見る・聴くだけでなく、五感を刺激してくれる貴重なプレゼンでした。
地元の資源と食をテーマにした、コミュニティをつくりたい
(芦澤香苗さん)
芦澤さんが拠点を置く山梨県市川三郷町には伝統野菜や農作物のほか、和紙や印鑑、花火といった伝統産業が息づいているそうです。 食関連のアドバイザーでもある自身の観点から、それぞれの業界を横断して「五感をフルに引き出す」コミュニティをつくりたいと熱く語ってくれました。 プレゼンの最中に聴き手に問いかける「2way」の手法もばっちりです!
高校生や若手女性のパワーで農業に新しい風を!
(宇田川志歩里さん)
農業に興味を持っている高校生を聴き手として、あふれるパワーをプレゼンにぶつけた宇田川さん。 「農業のネガティブな3Kをポジティブなものに変えていきたい」という想いは、入塾当初からブレません。 その上で、ファッション業界との連携やSNSと対面を使い分けた消費者とのコミュニケーションなど、実現性の高いプランを次々に披露。会場を魅了しました。
マルシェを「場」として地元生産者と消費者をつなげたい
(伴野恵美さん)
「私の仲間になると、こんなメリットがあります!」と、わかりやすくコミュニティに参加するメリットを伝えた伴野さん。 農家のお嫁さんが外で活躍する機会をと、マルシェを媒介とした生産者と消費者のつながりを提案します。 おしゃれなチラシや写真が目を引き、イメージづくりにも余念がありません。地域通貨の考えを取り入れているところにも、地元への想いがあふれていました。
有機農家のまち富士宮市を活性化させたい!
(岸ノ上美樹さん)
これまでビジョンづくりに悩んでいましたが、最終プレゼンは思い切って新しいテーマを打ち出した岸ノ上さん。 活動拠点の静岡県富士見市から見える、美しい富士山を導入ビジュアルに起用し、有機農業の街を活性化させるためのアクションプランを発表しました。 前職の経験から、持ち前の「説明力」が存分に活かされた、わかりやすいプレゼンでした。
農業の食品ロスを解決し、水俣からプラスのインパクトを
(永井香織さん)
トリを飾ったのは、熊本県水俣市の永井さん。農業の慢性的な課題だった規格外品などの廃棄物問題などを、人と人とのネットワークによって解決する新しいアイデアを発表。 すでに任意グループとして培ってきた実績や人脈をベースに、実現性を感じるアクションプランを提案しました。 「硬いテーマなので、書体やイラストをできるだけやわらかくして、受け入れやすいように工夫しました」と永井さんが語るように、細部にさまざまな配慮が見られました。
講師陣から打ち返された、熱いエールとアドバイス
各プレゼンの後には、講師陣から魅力を感じたポイントや、さらによいプレゼンや取り組みにするためのアドバイスが寄せられました。
例をいくつか紹介すると……
- ・自治体の職員などが相手なら、事業の具体的な実現性は気になるはず。「3年で〇種類のメニューを作る」など、KPI(事業の評価指標)があったほうがよい。
- ・現時点で「新規性」が薄い場合には、3~5年先のユニークなビジョンが示せると興味を持ってもらえる。
- ・行政相手の場合は、「法人化を目標にしている」など体制を説明できると「これなら協力できる」と担当者がイメージしやすい。
- ・地方紙やテレビなどから評価を受けると、メンバーのモチベーションも上がる。初期段階からメディアを巻き込むのが吉。
- ・「こうなったらいいね」というサクセスストーリーだけでなく、「それがないと不利益が起こる」というホラーストーリーがあると、プレゼンのメリハリがつく。
- ・話し言葉の接続詞が、フランクになりすぎていないかチェック。「(それ)でー」など省略しがちな人は、固い場では「ですから」など丁寧にすると印象がよくなる。
などが挙がりました。
近い将来、塾生みなさんの活動が地域や全国を変えていくことでしょう。ここでは詳細を書けませんでしたが、WebサイトやSNSで情報発信しているメンバーもいるので、気になる方はぜひチェックしてみてください!
みなさん半年間、おつかれさまでした!