FOODEX JAPAN 2025 / 第50回 国際食品・飲料展

特別インタビュー ハイアット リージェンシー 大阪 総支配人
ミリアム・バロリ 氏

Miriam Varoli
日本との接点について

私がまだオーストラリアで小学生の頃、日本の旅館に関するドキュメンタリーを見ました。その時、日本と日本のおもてなしにすっかり魅了されてしまいました。その何年後に、その両方を経験できる機会に恵まれるとは想像すらしませんでした。2013年5月の来日以降、実際の日本は私の最も楽観的な想像を遥かに超えるものでした。

ハイアット リージェンシー 大阪の食と料理の魅力について

私たちの熱心な料理チームは、持続可能な地元産の農産物の調達に最も重きを置いています。国内はもとより、ハラルやビーガン、コーシャなど海外からのゲストの多様な食事のリクエストに対応するために、常にスタンバイの状態です。

ホテルではお客さまにどのような食体験をしてもらいたいですか

私たちの目指すところは、お客さまと有意義な繋がりを築き、お客さまであるゲストにパーソナライズされた体験を提供することです。この繋がりを通じて、さまざまな世代のお客様をハイアット リージェンシー 大阪にお迎えしたいと考えています。

お客さまにはどんなサプライズを持ってお迎えされますか

最近ですが、特別な時にケーキを自分の好きなようにカスタマイズできるフードプリンターを購入しました。お客さまには事前に大切な方の写真を事前に送っていただきます。その特別な日のケーキの蝋燭を吹き消すときには、皆さんの驚きと笑顔を同時に見れてとても嬉しくなります。

ホテルの人気メニューを教えてください

ホテルで提供される最大の人気メニューの一つは、イタリアン レストラン バジリコのピザです。マルゲリータやディアボラといった昔ながらのピザをお出ししていますが、ゲストに喜んでいただける季節ごとにトッピングが変わるピザも用意しています。例えば、誰もが好きな栗のピザなどです。

新しいレシピの開発や食材の調達はどのように

私たちの料理チームが一番大切にしていることは、まず旬の食材が何であるかを理解することです。第二に、地元で持続可能な方法で商品を調達できるかどうかを確認します。

ベジタリアン、ビーガン、ハラルなど、食の多様性におけるホテルの対応について

宴会、レストランの両方でベジタリアンメニューをご用意しております。数年前と比べて、最近はベジタリアンメニューやビーガンメニューのリクエストが増えています。専任の料理チームが、コーシャやハラルを含むすべての食事リクエストに対応させていただきます。

サステナブルな取り組みについて教えてください

食の持続可能性についてですが、出来る限り、持続可能なシーフード製品やケージフリーの鶏卵を使うようにしています。また、イタリア料理を出すトラットリア ”バジリコ”では、季節の野菜や植物由来の食材を使ったプラントベースのメニューを提供しています。

ここで少しグリーンポテトプロジェクトについて触れさせていただきます。NTTファシリティーズエンジニアリングが展開するグリーンポテトプロジェクトですが、当ホテルのボールルームの屋上を使ってリサイクル可能な布袋を使用してサツマイモを栽培しています。この屋上を使った植物の育成によって、屋根の温度を下げることで空調システムのエネルギー効率を高め、電力消費による CO2 排出量を削減し、気候変動の緩和に貢献することができます。屋上で収穫したサツマイモを使ってデザートやパンを作り、レストランで提供しています。

<コミュニティ冷蔵庫>
ブッフェで食べきれなかった食材は、テイクアウトボックスや社員食堂の「コミュニティ冷蔵庫」に入れ、食品ロスを減らしています。これらの食品は、従業員がその後、自由に好きに使えるよう提供されます。

<食糧援助と寄付>
月に一度、ホテル近くの子ども食堂(食事が必要な子どもたちに無料または低価格で提供)にお弁当を提供しています。豊中市の取り組みであるシングルマザーやその子どもたち、支援を必要とする人たちに、お弁当と食事を無料で提供する取り組みに当ホテルも賛同し、月に一度、ホテルで用意したお弁当で食堂を支援しています。さらに、ホームレスのための炊き出しも行っています。

今後の更なるハイアットの成長と発展には何が必要だと思いますか

人的資源の課題を克服し、訪問いただくゲストの体験の質を維持することです。この記事を読まれている方は間違いなく認識されているかと思いますが、日本の観光産業は世界的に有名になった日本の”おもてなし”やその類いのサービスを提供できる十分な数の資格ある人材を確保できるかという深刻な課題に直面しています。この課題はますます深刻になる可能性が高いです。ホスピタリティや観光部門は、この課題の改善に向けて、革新的で包括的な解決策を見つけるため、あらゆる手段を講じる必要があります。お客さまが望む、そしてそれに値する体験をホテルが提供できるかどうか、私たちホテルの能力に対してそれ相当のリスクを突きつけられると捉えています。

さらに、具体的には何ができるのでしょうか? 第一に、さまざまな国から適切な数の有資格外国人の同僚が労働力の一部となれる機会を開放すること、彼らと一体化できる取り組みを支援する必要があります。第二に、労働力として参入または再参入する女性が最大限活用できる機会を用意すること、そのためにも保育サービスを充実させなければなりません。第三に、障害のある人、高齢者、フレックスタイムで働ける人など、あらゆる背景のチームメンバーにチャンスを設け、サポートを提供する必要があります。

第 4 に、優秀な卒業生 (他の業界と競合する人材) を引き付けるには、より優れたワークライフ・バランス、継続的な学習の機会、部門横断的な機会を提供する必要があります。

こういった取り組み措置がなければ、チームメンバーの採用、そして重要なチームメンバーの維持がますます困難になります。さらに、日本たる所以でもある日本での秀でたゲスト体験を提供することが、益々難しくなります。これは旅行の目的地として、日本そして関西を選ぶ際の差別化の重要ポイントに他なりません。

最後に、おもてなしにおけるモットーと信念を教えてください

決まり文句に聞こえるかもしれませんが、「己の欲する所を人に施せ」です。他人様との関係において、また思いやりや尊敬そしておそらく最も重要な”共感”を持って人生を送る上において、強力な指針として役立つことを私は常に発見してきました。 また、共感と常に配慮・気遣いが最も求められるホスピタリティ業界において、まさに的確な誘導灯と言えます。

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