女性農業コミュニティーリーダー塾 実践編
東京会場 第4回講義レポート
組織づくりで検討すべき10項目とは?
2018.10.10
愛媛研修を終えて、東京会場で行われる第4回講義(研修)は10月9日、10日に行われました。全8回講義(研修)というスケジュールのため、早くも折り返し地点に来たことになります。
「みなさんの研修ノートを見ると、だいぶビジョンが見えてきたし、ネットワークの絵が描けてきたことがわかります」。そう金子和夫先生がお話しされる通り、塾生のみなさんの取り組むテーマを整理してみると、「農産物のブランディング」「六次産業化」「法人経営」「コミュニティづくり」「地域づくり」「都市と農村の連携」などに分類され、次第にビジョンがはっきりとしてきたようです。
今回はそれをさらに整理して、実際に仲間と会議を始められるようにしていきます。
愛媛研修で得た知見を整理する
まずは、第3回の愛媛研修で行った視察を振り返るワーク。「からり直売所」の野田文子さん、「ザ・リコピンズ」の辻本京子さんという2人の先輩から聞いたお話を、「ビジョン」と「組織」という観点から整理していきます。
整理する際は自分のケースに落とし込むことを心がけながら、ビジョンワークシートに記入。書いたビジョンは、グループで話し合って共有します。実際のケースを視察した後だからか、さらに具体的にビジョンが描けているよう。「ここはすごくいいね!」「こういう見方もできるのでは?」と、活発に意見が交換されます。
組織づくりで検討すべき10項目とは?
ビジョンをしっかり把握したら、次は実際に行動するための「アクションプラン」を作る準備です。ワークに続いて行われたのは、「組織づくりで検討すべき10項目とは?」の講義。「組織ってそもそも、どうやって成り立っているの?」について理解を深め、実際に組織を作るためには、何が必要なのか学びます。
組織づくりをするときに検討するべき項目は、メンバー構成や主催者によって違います。金子先生が挙げたのは、次の10項目。ひとつひとつ見ていきましょう!
【組織づくりで検討すべき10項目】
・組織の名称
・目的
・目標(年次を決めた数値目標)
・活動年次
・構成メンバー
・メンター(よき助言者)
・場所
・会合(定例、臨時、総会、部会など)
・事務局(実行委員会、役員)
・財源
まずとても重要なのは「組織の名称」。これから集まるメンバーをまとめるため、名称はしっかり決めましょう。
そしてその「目的」。たとえば”マルシェをやる!”など明確にすることが大切です。そして、”いつまでにやるか”を決めた数値目標も必要。その「目標」を達成したら、その組織は役割を果たしたということ。解散したり、進化させたりなど、次の段階が見えてくるのです。
「構成メンバー」は○歳の人が○人か。固定メンバーにするのか、流動的にするのか。目標に応じて決めていきます。組織によっては「メンター(よき助言者)」がいたほうがいい場合もあります。必要ならば、行政機関や学校関係者など、頼りにできるメンターに相談できるようにしておきましょう!
集まる時はどこにするのか「場所」も明確に。地域の公民館など、活動拠点ははっきりしておくこと! その時「会合(定例、臨時、総会、部会など)」のスケジュールも、きちんと決めておきましょう。
その組織の連絡先となる「事務局(実行委員会、役員)」を決めておくことも大切です。外部からコンタクトする人にとっては、事務局があるかないかで大きく違いますよね?
最後に「財源」の確保も忘れずに。会費制にするのか、助成金を使うのが、活動資金をどこが負担するのかもきちんと検討しましょう。
主導者によって組織づくりは違う
主導者が行政なのか個人なのかによって、組織づくりは違います。というわけで金子先生は、官民主導の組織を4例ほど挙げ、それぞれ具体的に紹介してくれました。
1つ目は、官主導の組織「徳地づくり達人塾」。
2つ目は、官民連携の組織「からり直売所」。
3つ目は、民主導の組織「企業組合ザ・リコピンズ」と「ミールケア」。
4つ目は、民主導で広域連携型の組織「NPOえがおつなげて」。
組織図はどうなっているのか? 取り組みの経緯として、ワークショップを○回、フィールドワークを○回行ったのか? ○歳の参加者を○人、どうやって集めたのか? 交通費など予算はどこが負担したのか? 会議での合意形成のためのルールは、その場で全員で投票したのか、それとも町議会などに持ち帰ったのか? 会議の模様は参加した学生が「かわら版」を作った、地元のCATVが番組化したなど、記録の取り方は?
組織とそのルールは、具体例から学ぶとずいぶん分かりやすいんですね!みなさん、自分のビジョンに近いケースを参考にしてください!
ただ、金子先生がおっしゃるのは、農業はどんどん姿を変えているということ。「今日、紹介した組織が発足したときと比べると、今はもっと進んでいます。オーガニックや輸出の課題、ブランディングなど、新たな課題をみんな考えていますよね」。確かに、日本の農業を取り巻く環境は日々変わっていますよね。研修が進んだら、さらに詳しくお聞きしたいところです!
さて、いつも実践的な金子先生の講義。なんと今回は、財源が確保できそうな行政の補助金制度などを表にしてくれました! このレアな一覧表の登場に、塾生もみんな興奮(笑)! 講師などの専門家派遣制度や、行政の補助金、クラウドファンディングなど、財源もいろいろ。組織づくりに活かせるといいですね!
このあとさらに自分たちのテーマを深めて行くべく、ワークを重ねたあとは、深代先生の講義「組織化のためのヒューマンスキル」です。演習形式で、こちらも実践的! 今回も充実した講義となりました。