Japan Home Show & Building Show 2025
会期
2025.11.1911.2110:00-17:00
会場

東京ビッグサイト 西展示棟ACCESS

EXHIBIT 出展のご案内

出展者インタビュー クリナップ株式会社

クリナップ株式会社

クリナップ株式会社開発戦略部 商品戦略課 主任
若林 寧々 様

キッチン、バスルーム、洗面化粧台の水回り3点に特化し、システムキッチンやステンレス製キャビネットのパイオニアとして知られるクリナップ株式会社様。このたび、新コンセプト商品「HIROMA」の拡販にあたり、Japan Home & Building Show( JHBS)2023に初出展いただきました。その狙いや成果について、開発から展示まで携われた若林寧々様にお話を伺いました。

新コンセプト商品
「キッチンテーブル」の
使用イメージが伝わる展示で商機

「こういう暮らしっていいな」と思ってもらえる展示を目指した

初めてJHBS2023に参加させていただきました。今回出展したのは「HIROMA(ヒロマ)」という商品で、木工家具メーカーの飛騨産業株式会社様と共同で開発した、新しいタイプの「キッチンテーブル」になります。

展示にあたってこだわったのは、実際の使い方をイメージできること。ご覧になったお客様が「ああ、こういう暮らしっていいかもな」と思える、ライフスタイルと一緒に商品をご提案できる展示を目指しました。

どういったライフスタイルをお見せするかは、開発チーム内でかなり議論をしました。

HIROMAのコンセプトの一つに「時間や気持ちに余裕を持って使える」というものがあります。座ったままお料理や洗い物ができるようデザインされているため、普通のキッチンではやらないことができるのを見せよう、ということになりました。

展示の時期が秋だったこともあり、テーブルの上にむきかけの栗やシロップ漬けの瓶を配置。背後に飛騨産業様のシェルフをセットして、一コマのブースで本当の部屋での一場面を再現しました。ちょっとお茶を沸かしておしゃべりをしながら、栗むきやシロップ漬けといった手作業ができる。そういった暮らしがあってもいいんじゃないか、というご提案です。

出展イメージ
当日のブースの様子。11月開催の秋らしい、ゆったりとした生活をイメージした展示に。

実際、展示を行ってみて、メインのターゲットとして考えていた工務店や設計事務所、インテリアコーディネーター、デザイナーなど、多くの方々に見ていただけました。中には「お客さんに提案してみようかな」みたいな声もいただけて良かったです。

また、「みらいのたね」賞を受賞したことで、より多くの方に興味を持ってブースに来場いただけたのも本当に嬉しかったです。カタログの配布数もかなりの数にのぼりましたし、何よりこうしたアワードを受賞したのは初めてだったので、開発チーム一同、励みになっています。

新しいコンセプトの商品であるためぴったりと合う展示会が見つからない

Hiramaは「L(リビング)とD(ダイニング)とK(キッチン)を、もっと自由に考えよう」というコンセプトのもと、現代の多様なライフスタイルに対応できるよう開発しています。

コンロやシンク、水栓部分を合わせたキッチンセットと、ダイニングテーブル&チェア、ワゴン型収納などにパーツを分け、それほど広くない住宅のリビングの真ん中に置いても生活感が出過ぎないデザインにし、収納も最小限に抑えました。

今回展示したのは座ったまま家事ができるロータイプですが、通常のキッチンと同じ高さのタイプもあり、様々なライフスタイルやシチュエーション、ご要望に対応できるのが特徴です。

一方、フレキシブルな使い方が可能な分、「Webやカタログで見ても、どう使えばいいか、いまひとつ想像できない……」といったお声をいただいていたのも事実です。そこでストーリーや具体的な使い方と一緒にライフスタイルを提案しながら見ていただく必要があり、展示会との親和性は高いと考えていました。

ところが、実際に出展の検討を始めると、思わぬところでつまずきました。キッチンでもダイニングテーブルでもあるので、一つのカテゴリに収めることができないのです。

住宅設備の展示会に出すとダイニングテーブルの部分が浮いてしまいます。キッチン部分があるためインテリア展に出すのも難しい。実際にご購入いただくのは施主様なのですが、設置の際、施工業者様に給排水のチェックをしていただく必要があり、エンドユーザーだけでなく工務店様にもHIROMAを知っていただかなければならない……。

このすべての条件にぴったり合う展示会が、まさに、建築家から設計事務所様、工務店様、インテリアコーディネーター様など多くの方が来場し、かつ多岐にわたる商材を扱っているJHBSでした。

商品の周知だけでなく、施工業者の反応も得られる場にしたかった

当社は、キッチン、バスルーム、洗面化粧台の水回り3点に特化したメーカーです。現在、会社としてサスティナブルビジョンの一つに「ものづくりを通じた暮らし価値の提供」というものを掲げています。

創業当時から続くステンレスでの素材づくり、ものづくりを大切にしながら、時代や世代に寄り添い、食住空間から生まれる家族の笑顔のために、キッチンやダイニングの暮らし方の提案を行っていく、という長期ビジョンです。

HIROMA事業はその一環です。今、働き方改革やコロナ禍を経て、おうち時間を重視するライフスタイルが見直されています。一方で、本格的に料理に取り組まなくても、手軽にいろいろなものが手に入る時代でもあります。そうした中、「家事を省力化し、無理をしない暮らし方」という現代の暮らし方にマッチしたキッチンがあってもいいんじゃないか。それがHIROMAの始まりでした。

メインのターゲットの一つに「共働き世帯でお子さんがいないご夫婦二人暮らし」を置いています。当社の他の商品と違ってオンラインショップでの販売を主とし、Web広告やSNSを活用したPRに力を入れています。

出展イメージ
「HIROMA」の機能性と居住性のデザインが評価され、みらいのたね賞を受賞した。

ご購入いただいたお客様からは好評で、「一目惚れした。もう他のキッチンは検討しませんでしたよ」と嬉しい言葉をいただいていますが、工務店様など施工業者の方々にどう思っていただいているかは、じつは不安な部分でもありました。

施工が必要な住宅設備ですし、工務店様からエンドユーザーの方々にご提案していただくのも重要な販売ルートだからです。展示会に出展することで、そうした方々にお会いしてご意見をいただけるのではないかという期待もありました。

「こういう使い方もありそうだ」と未来型のアイデアをいただけた

実際、施工業者様に見ていただくと、「今までこういうコンパクトキッチンって、鉄の脚だとかシックでかっこいい感じばかりだったけど、こういうのは提案しやすい」とか「メンテナンスもしやすそうだから、工務店側としても助かる」と褒めていただき、安心しました。

また、「二世帯住宅のサブキッチンとしても良いんじゃないか」「別荘やコンドミニアムみたいに料理しないところでも使えそうだ」、「ウォーターサーバーや濾過装置を使って、給排水の施工が要らない、可動式を目指してはどうか」といった未来型のアイデアもいただいたり。

他にも「打ち合わせスペースに置いて、コーヒー飲みながらミーティングできたらいいね。うちに置きたいくらいだよ」とおっしゃる方もいて、「ぜひ置いてくたさい」とか(笑)。

施工業者様とそういうお話をする機会はそれほど多くないので、こうしたご意見に接する機会は貴重なんです。

最終的に当社のオンラインショップでご購入いただくのがゴールではあるのですが、今後の改善や様々な商品開発を進めていくうえでも、実際に見た方の感想をリアルタイムで聞ける場は本当に大事だと思っています。具体的に話が進みそうな方とつながることもできますし、今後も対面の展示会は活用していきたいね、とチームでも話をしています。

今回、初出展してみた反省点としては、壁面装飾や出展者名をもう少し工夫すべきだったというのがあります。ブースに「HIROMA」のロゴを掲示していたのですが、出展者は「クリナップ」だったので、来場者の方にとって探しづらかったかもしれません。単純に、HIROMAの認知度は高くないので、もっと自社のネームバリューを活用すべきでした。そこは次回以降に、活かしていきたいと思っています。

インタビューイメージ
若林様「展示の準備は1カ月くらい。装飾などすべて自分たちで行いました」