Japan Home Show & Building Show 2025
会期
2025.11.1911.2110:00-17:00
会場

東京ビッグサイト 西展示棟ACCESS

EXHIBIT 出展のご案内

出展者インタビュー 日野興業株式会社

日野興業株式会社

日野興業株式会社 写真左より 営業企画部 広報企画課 大槻 宥実 様
営業企画部 広報企画課 児嶋 宏美 様
営業企画部 広報企画課 菊地 恵 様

仮説トイレからフェンス、安全看板まで。土木・建設現場の安全と衛生に役立つツールの製造・販売・レンタルを手がける日野興業株式会社様。日本初の女性用仮設トイレを開発するなど、屋外トイレ、仮設トイレの分野ではパイオニア企業として知られています。Japan Home & Building Show( JHBS)トイレ産業展2023にもご出展いただいた同社のご担当者様3名に、出展の目的や意義、準備の仕方、展示の効果などについて伺いました。

お客様とコミュニケーションを取るため
あえて自社商品を展示しないブースに

「何の会社のブースだろう」とお客様に思ってもらう

児嶋 私どもは仮設トイレの創業メーカーで、年間を通して様々な建材・建機の展示会に出展させていただいています。弊社の商品を展示してご紹介するケースが多いのですが、今回に関しては、これまでとちょっと違った取り組みをしてみようということで、あえて自社商品のトイレを展示しないブースにしました。

大槻 一番の目的は、普段、接点がないお客様とのつながりを作りたい、ということ。「何だろう、面白そう」と立ち寄ってもらい、直接のお取引につながらなくても、「へえ、こういう会社があるんだ」と思ってもらえれば大成功です。

児嶋 これまでの仮設トイレと、これからの仮設トイレについてお客様と一緒に考えていけたらいいな、というのがコンセプトでした。今、当社は設立70年を迎えて「新仮説」というテーマを掲げているため、今回の展示ブースにも「アップデート」という文字を入れ、そういうコミュニケーションを取れる場所にできればいいな、と思っていました。でも、ブース内に仮設トイレの現物を置いてしまうと……。

出展イメージ
コンセプトカラーは「白」に統一した。写真右側の椅子とテーブルがカフェスペース。

大槻 「あ、トイレの会社か。はいはい、わかった、わかった」って感じで、通り過ぎられちゃうんです(笑)。なので、お客様に「これは何だろう」と近づいていただくためにどうすればいいかをみんなで考えました。

菊地 結局、当社のブースは大きく6つのパネルを設置しただけのシンプルなものになりました。パネルの内容は、「災害」「労働環境改善」「弊社のSDGsについて」「スポーツや音楽イベントにおける仮説トイレ」「動画を使ったセミナー」、それと当社でたまたまつながりがあった麗沢大学と中央大学の学生さんによる「トイレに関する研究発表」の6つです。

大槻 ブース内にカフェスペースを作って飲み物も提供したのも大きかったです。飲み物をもらいに来るだけの方もいらっしゃいました。でも「飲み物をお待ちいただいている間、良かったら見てください」とお声掛けしたり。

菊地 そのため、当社やこの業界についてご存知ない方でも気軽に読めるように、パネルの文章は工夫をしました。そこでちょっと面白い話ができたり、それぞれいろんな切り口からお話ができるような仕掛けにしたつもりです。

児嶋 あと、動画ブースでは災害に関する映像を流して、立ち寄っていただいた方に携帯トイレのノベルティをお渡ししていました。災害時など下水道が止まって使えなくなったときに、ご自宅のトイレなどにかぶせて使用できる袋状のものです。動画に興味をもって近づいてくださった方に「お飲み物だけでもいかがですか」とか「携帯トイレって備蓄されていますか」とお声掛けしたり。ドリンクも含めて、話のきっかけになるアイテムを用意しておいたので、会話が広がりやすくてよかったです。

菊地 新たにお会いする方々だけでなく、すでにお取引のあるお客様にも良い意味で驚いていただけたのも成果かなと思っています。「えっ? ここ日野興業さんだったの? 商品を置いてないから、イメージ違ったよ」とか。

大槻 会社として労働環境改善やSDGsに取り組んでいることや、スポーツイベントや花火大会にもレンタルしていることなど、「日野興業さん、こういうこともやっているんだね」みたいな感じで知っていただけたりしましたよね。

良い人材を採用するために自社の知名度を上げる

菊地 今回のテーマである「当社を知ってもらうこと」には、じつは、人材採用の強化も視野に入っています。当社として最も重点を置いているのは、やはり「人」。人材採用です。採用強化のためにも、学生さんや転職を考えている方に、私たちの会社を知ってほしいという思いがあります。

児嶋 やっぱり、仮説トイレの会社って地味ですから。私自身も、新卒のときまったく視野に入っていなかった業界でした(笑)。

大槻 同じです。私自身も中途採用組ですが、本当にもう、求人を見て知ったぐらいの感じで(笑)。

菊地 はい(笑)。ただ、採用に関しても、すぐに成果に直結させようとことではなくて、今回のような新しい取り組みを行ったブースや装飾で、みなさんに知っていただいたり、採用の説明会で自社PRの材料にしたり、ホームページで見て興味を持っていただけたらエントリーしていただいたり……。そういった、長期的な視点での活動だと考えています。

出展イメージ
セミナーの様子。1日2回、防災とトイレに関するセミナーを行った。

大槻 もちろん中途採用はこれからも続けていきますが、これからは新卒採用にもさらに力を入れていきたいとも思っています。学生さんの中には建築学科じゃないとエントリーしちゃいけないんじゃないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに開発課だとCADが使えればとても有利かもしれませんが、営業などいろんな分野の方に来てほしいと思っています。

児嶋 そういう意味では、今回、麗沢大学や中央大学など、多くの学生さんと触れ合うことができたのは大きかったです。建築関係の出展会ですと、業界の特性もあって、通常は男性の方が多いのですが、JBHSは、学生さん向けプロジェクトデザインのコンペティション企画なども行われているため、学生さんはもちろん男性女性含め、お客様の層が本当に広いというのが印象です。実際、様々なお客様に出会うことができました。

会場でのやりとりで得た新たな気づきを社内でも活かす

児嶋 これまでの展示会だと、展示されている商品に対して質問いただき、お答えするというのがほとんどでした。もちろんそれにも大きな意義があるのですが、今回はまったく違う視点での展示だったこともあり、想像以上に様々な方に来場いただいて、本当にたくさんのアイデアや気付きをいただけた、と思っています。

大槻 たとえば、学生さんが作られたパネルは、ジェンダーレス・トイレに関する調査結果だったのですが、それをきっかけに業界関係以外の方からも興味を持っていただきました。「居酒屋にある、どちらでも入れるトイレもジェンダーレス・トイレになるんですかね」とか。私たちにとっても、いろいろと考えるきっかけになりました。

児嶋 他にも、イベント会場などに提供する場合、景観に溶け込むようにラッピングすることが多いのですが、その写真を見て「すごい。パッと見、トイレとは思えないですね」とお褒めいただきました。ところが、社内で共有すると「嬉しい意見なんだけど、トイレなんだから、やっぱり、もうちょっと分かりやすいほうがいいよね」と気付きを得たり。

児嶋様インタビュー風景
児嶋様「私たちも新しい方々と出会いたいという感じで展示会の準備をしました」

菊地 展示会でいただいたお客様からの反応や意見をまとめて、こういう一般の方々の意見もあります、と社内で共有することは非常に重視しています。

児嶋 現在のトレンドでいうと、仮設トイレにも高級路線の需要が増えています。グランピング施設(気軽にキャンプ体験を楽しめる施設)では、周囲の雰囲気に溶け込んだもの、ちょっとおしゃれで重厚感があるものが求められます。でも、トイレなのである程度、見つけやすいものでなければならない。新製品の開発に活かせる気付きだと思います。

菊地 一方で、どういう方法で共有するのが良いのか、正直なところ、試行錯誤を重ねている段階です。情報共有は事前と事後の二段階があると思いますが、両方で気をつけているのは、温度差が生まれないようにすること。特に、当日に向けた準備段階では「どういう目的で展示会をやるのか」「どんな人に何をみてもらいたいか」を、事前に準備をする人と当日参加する人にそれぞれ丁寧に伝え、擦り合わせていくのがとても大事だと思っています。

大槻 事後の報告や情報共有では、地方の営業所の方など、どうしても参加できない方に伝えるのも大切だと思っています。活動報告書は別途作成して、ご来場いただいた人数とか、会場の写真などで様子を報告したり。そうした、社内共有についても力を入れています。

菊地 動画を作ったり。

大槻 はい、作りました。当日の様子を撮影してリポートを加えた、10分くらいの動画ですけど。菊地さんにも出演いただいて(笑)。社内ネットワークで共有したんですが、結構、再生回数も伸びていて、多くの人に見ていただけたみたいで、よかったです。

展示会に限らず、新しいことに楽しみながら挑戦する

児嶋 今回の展示会もそうですが、先入観なく、元気にいろいろなことにチャレンジできるというのが、当社の社風かもしれません。

菊地 展示会は特にそうで、毎年、何をやるかは決めていないんです。ただ「新しいことをやっていこう」「挑戦していこう」というところだけ、決まっている感じで。どういう方向で行くかを決めたらその部門と話し合いながら、協力して決めていきます。社風については、明るく元気にみたいなところは、もしかしたらあるかもしれないですね。社長もそうですし。

大槻 アットホーム感もありますよね。当社の社長はどんなに忙しくても、必ず展示会に来てくれるんです。今回のトイレ産業展でも3日間、すべての日程で顔を出してくれました。コーヒー片手にブースの横に立っていて、「あ、あれ、うちの社長です」みたいな感じで(笑)。

児嶋 そういう会社なんです(笑)

大槻 上長にはいつも「楽しんでやろう」と言われています。展示会でも「君たち自身が楽しまないと良いブースにならない」と言われて。自分たちがわくわくするような展示を出そうって。だから当日の服装も自分たちがいいと思う衣装でいいよ、と。

菊地 私たちが楽しんでお客様を迎えることができたら、すごく雰囲気も良くなるのかなって思います。

児嶋 次回、JHBS2024にも出展させていただく予定ですが、コンセプトに関してはまだ決まっていません。これから打ち合わせていく段階です。次回は少し商品展示もしてみようかという意見も出ていますが、どうなるかはまだ……。

菊地 いろいろとアイデアや意見を出し合いながら、常に何か新しいこと、お客様に喜んでもらえることをやっていくことになると思います。

大槻 みんなで楽しみながら。それだけは間違いないと思います(笑)

インタビューイメージ
菊地様「長期的視点で、人材採用にも役立てていければと思っています」
インタビューイメージ
大槻様「ブース内でのお客様との会話や交流を楽しむこと意識してやりました」