Japan Home Show & Building Show 2025
会期
2025.11.1911.2110:00-17:00
会場

東京ビッグサイト 西展示棟ACCESS

EXHIBIT 出展のご案内

出展者インタビュー シューコー・ジャパン株式会社

シューコー・ジャパン株式会社

シューコー・ジャパン
株式会社
営業部長 佐方 逹典 様
マーケティング 兼
オフィスマネージャー 
小谷 真矢 様

断熱性と気密性に優れた大開口スライディング窓をはじめ、サッシ、ドア、ファサードなどを手掛けるシューコー・ジャパン株式会社様。ドイツのビーレフェルトに本社を構えるファブレス企業で、世界80カ国以上でビジネス展開をされています。Japan Home & Building Show( JHBS)には2023年に初出展いただきました。日本法人の佐方達典様と小谷真矢様に、出展の目的や効果などについて伺いました。

展示会で自社を知ってもらうことは
2年後3年後のビジネスにつながる

日本に進出したドイツメーカーとして初めての商品を紹介する機会を得た

佐方 JHBS2023では、断熱タイプと非断熱タイプの大開口スライディング窓を1点ずつ、また断熱カーテンウォール1点の計3点を出展しました。カーテンウォールはミニチュアで、大開口のスライディング窓は高さ3メートルの実物をそれぞれ展示しました。
当社は、2018年末に発足したばかりの日本法人です。以来4年間、市場調査や商品のカスタマイズ、日本産業規格(JIS)をパスするための試験を重ね、2023年に日本向けの商品が完成しました。その間、建築家をはじめ様々な方から「実物を見たい」というお声をいただいていたのですが、当社にはまだショールームがなく、なかなかお見せできずにいました。今回、JHBSに展示することで、ようやくお披露目する機会を得たという感じです。

小谷 実物をご覧になった多くのお客様から、「あっ、話してた製品ってこれだったんだ。良いですね」という反応をいただけたので、非常に良かったと思っています。

佐方 それまではミニチュアサンプルを使って説明していたのですが、こういうものはやはり、実物を見ていただくのが一番。じかに触って、実物感を感じていただきたかった。
初出展でしたが、すごく良い場所をいただけたのも大きかったですね。3メートルの大きな窓が目立ったみたいで、展示物の前を通る方の中には「お、すごい」とか「でかいな」と、それだけで興味を持たれて、ブース内に入っていただけました。

出展イメージ
ブースの様子。サステナビリティなどの取り組みは動画で流し、アピールした。

取引先の建築家や製造加工を担うパートナー企業に実物を見てもらえた

佐方 今回、主なターゲットとしたのは建築家さんです。大開口の窓ですから、普通の戸建住宅というよりは、別荘やホテル等の非住宅施設に使っていただくことが多いので、そうした建築を手掛けている方に見ていただきたかった。
当社は自前の工場を持たないファブレス企業ですから、製造や加工、組み立てを行なっていただくパートナー企業さんに実物を見ていただけたのも良かった点です。

小谷 出展に際し、自社の商品を見ていただく、触っていただくことの他に、当社自体を知っていただくという目的もありました。シューコーはドイツに本社がある老舗企業ですが、そのブランドはまだ日本市場に浸透していません。言わばスタートアップ企業のような立ち位置ですから、まずは「こういう会社がある」というのを知っていただきたかったんです。

佐方 本社はドイツのビーレフェルトにあります。設立は1951年で、ドイツではトップメーカーで現在は世界80カ国以上で展開している大きな会社ですが、おそらく日本ではほとんど知られていないと思います。

小谷 ドイツ語で「Schüco」と表記すると、多くのお客様から「これは……シュ、シュ……すみません、なんて読むんですか」と聞かれるレベルです(笑)。

佐方 認知度の向上は簡単にできませんから、そこは地道にやっていくしかないですね。

小谷 今回の展示会では、600人くらいの方とお会いできればと考えていました。QRコードで情報を読み取らせていただいた方だけで500人弱。読み取れなかった方も多かったので、実数としては、おそらく目標達成できたと思います。
多くの方と名刺交換でき、当社発行のニュースレターやSNS、データベースサイトなどを介してアクセス、あるいは情報発信できるようになったのは、本当に大きいと思っています。

日本向けの製品開発に3年を掛け広く周知するチャンスを探していた

佐方 当社の商品の強みとしてまず「高い断熱性」が挙げられます。ビーレフェルトは緯度で言うと北海道のさらに北の寒い地域ですから、非常に高い断熱性能が求められます。ヨーロッパの企業ということで、サステナビリティに対しても真剣に取り組んでいますし、ヨーロッパのEN規格はもちろん、カーボンニュートラルなどの法規制に対しても、日本よりも厳しい基準が定められており、すべてクリアしています。
商品には大きな自信を持っているのですが、そのまま日本で販売するというわけにはいきません。日本の規格であるJISをクリアする必要があるからです。すべての製品試験をもう一度やり直し、さらに日本向けにアレンジに3年が掛かりました。
住宅という観点から見たとき、日本という国は、じつは過酷な国土なんです。地震もありますし、台風も来る。北は北海道から南は沖縄まで、温度や湿度の差も大きい。こうした環境の国は、世界を見てもあまりないんです。
日本向けの非断熱商品はインド向けのものをベースにカスタマイズしましたが、結局、ほとんど新商品のようなかたちで製造することになりました。耐風圧は5000Paで水密性能も1000Paと、沖縄でも自信を持って売れる性能になっています。断熱タイプの商品は北海道でも十分使っていただけます。こうして商品ができたのが2023年頃で……。

小谷 その前に2022年あたりに、JHBSさんから「出展しませんか」とお声掛けいただいていたんです。お話を聞いて興味があったのですが、一昨年の段階ではまだ商品開発中でしたのでその年は断念。翌年、商品ができた段階でお見せする場を探していたときに「そういえば昨年……」と思い出して、社内でぜひ出展しようという話になりました。

インタビューイメージ
大開口窓のサンプル。高い断熱性能を保持しつつ、サッシの部分を薄くできるのが特徴だ。

建築家の複雑なデザインに合わせて多品種少量生産にも対応できる

佐方 当社のビジネスモデルは、規格を作って大量生産したものを売るというものではありません。個別の建築デザインに合わせて、一点一点カスタマイズが可能。多品種少量生産にも対応できるのが最大の特徴です。
建築家さんのデザインを活かすには、様々な寸法や形状の製品要望に対応する必要があります。多くのサッシメーカーは品種を絞っていく傾向があると思うのですが、当社の場合、そこはすべて柔軟に対応しています。

小谷 しかも、それをすべてファブレスで行っていますから、ファブリケーターさんがいかに簡単に製造できるかが重要になってきます。そのため、パートナー企業さんには商品部材や工作機械を提供するだけでなく、組み立てる際のトレーニングも行なっています。
なかでもデジタルツールの開発にはかなりの力を入れており、デザインから組み立て、施工に至るまで、すべてのプロセスで作業を最適化できるデジタルツール「SchüCal(シューキャル)」を自社で開発しています。建築家さんから、ファブリケーターの製造機械までをつなぐデジタルソリューションシステムです。
例えば、施主様からの依頼に対して、建築家の方が「こういう窓を使いたい」とデザインをする際、まずシューコーのカタログの中から選んでいただきます。形状や寸法などの情報を入力すると、3Dモデルが自動的に生成されます。施主様からOKをいただきデザインが決定すれば、その情報をファブリケーターさんの工作機械に転送し、すぐに製造・加工を始めることができるのです。

製品イメージ
佐方様「日本の地域ごとの環境差は難しさでもあるが、ビジネスチャンスであります」

佐方 生産性を高め、業務を効率化してものづくりを行えるツールで、全世界のシューコー支社とリンクしています。このツールを使えば寸法なども自由自在ですし、建築家さんの特殊なオーダーにも細かく対応することが可能です。エンボディドカーボン(建築時のCO2排出削減)にも対応しており、原材料などを含め、製造過程で排出するCO2の量をSchüCal上で表示できます。

小谷 パートナー企業さんに、いかに効率よく製造していただけるか、ビジネスを拡大していただけるかが大きな鍵を握りますから、こうした製造サポートのサービスの充実には、全社を挙げて力を注いでいます。

佐方 SchüCalなどのシステムや製造機械については、現在JISに対応できるようカスタマイズしているところです。いずれ日本でもお使いいただけるようになると思います。

日本でも断熱への注目度が高まっているこのチャンスをつかんでいきたい

佐方 現在、日本法人で主に扱っているのは3商品ですが、シューコー全体で言えばこの100倍以上のラインナップがあります。窓やカーテンウォール以外にも、ファサードやサンシェーディングなども取り扱っており、今後もどんどん展開してきたいですね。現時点では、2025年にはさらに商品を増やし、2026年ぐらいには一つの住宅がシューコーのシステムで網羅できるまで揃えたいと思っています。
現在、建築物省エネ法が制定・改正されるなど、断熱への注目度が日本でも高まっています。冷暖房効率を上げれば、個々の光熱費抑制はもちろん、日本全体でのCO2削減にもつながります。

小谷 今は別荘などの住宅や商業施設等から引き合いを多くいただいますが、大開口スライディング窓はオフィスビルや工場、店舗にもご活用いただけると思います。ホテルやマンションなど、いろいろな建物の共用部分で使いたいとのお声もあります。

佐方 エンボディドカーボンの問題も含めて、当社で提供している総合的なソリューションができるのが当社の強みです。今後も、商品だけでなく、SchüCalも含めたシステム全体を展示会でアピールしていきたいですね。この波にうまく乗りたいと思っていますし、そこの分野に強い商品を当社はいっぱい持っていますから。

小谷 今回の展示会の反省点としては、予想外に多くの方に関心を寄せていただけたのに、対応スタッフの数が足りなかった点でしょうか。商品の前で開け閉めしながら説明やご質問にお答えしていると、どうしても一人当たりの対応時間が長くなってしまって、対応しきれず他に行かれてしまった方が、結構いらっしゃいました。そこは大変申し訳なかったです。

佐方 ブース内にはスタッフが常時6人くらいいたのですが、丁寧に説明すると、どうしても長くなり、中には30分以上お話しさせていただいた方もいました。
展示会への出展に対して、本社から「出展して、いくらの受注につながったんだ?」と数字を求められることもありますが、現段階では2年後3年後の成果につながる投資だと考えています。まずは当社の商品を知ってもらうこと、シューコー自体を知ってもらうこと。今はそれが重要です。今後も、できる限り出展していきたいと思っています。

インタビューイメージ
小谷様「設計から部材、製造、施工、CO2削減まで一括管理できるのがSchüCalの強みです」
製品イメージ
ブースの装飾・デザインは業者に発注。擦り合わせのために、モックを作ってくれたという。