出展者インタビュー SFA Japan株式会社

SFA Japan株式会社
アカウントマネージャー
岩崎 亘 様
フランス発の排水圧送ポンプ
日本での知名度を高めたい
トイレなどの水まわり機器を小施工・短後期で設置できる
JHBS2023では、当社の主力製品である「サニアクセス3(スリー)」と「サニスピードプラス」の2つで出展させていただきました。
いずれも「排水圧送ポンプ」というジャンルの製品になります。多くの方にとって聞き馴染みがない製品だと思いますが、簡単に言うとトイレやキッチン、洗面台、お風呂などの雑排水や汚水を排出するための小型ポンプのことです。
薄型設計・省スペース仕様のユニットタイプで、3〜10メートルの垂直揚水能力があるため、排水口や既存の鋼管がない場所でも小施工・短工期で、水まわり機器を設置できるのが特徴です。
今回のブースでは、トイレ増設用の「サニアクセス3」と便器、キッチンや洗面台向けの「サニスピードプラス」と手洗い台を設置。通水の様子や排水の仕組みのほか、ポンプ内に内蔵されたブレードで固形物が粉砕され、流されていく様子などを、じかにご覧いただきました。さらに、営業担当者が当社の技術や、施工の簡単さなどを説明させていただきました。
JHBSには毎回参加させていただいています。出展の目的は大きく二つ。一つは「認知度を高める」こと、もう一つは「新しいお客様と出会うこと」です。
こちらの展示会は、建築家の方からリフォーム業社さん、施工業者さん、エンドユーザー、さらには学生の方まで、本当に幅広い層の来場者がいらっしゃいます。ですから、二つの目的を達成するためにぴったりの展示会だと思っています。

仏国で60年以上の販売実績 日本での反応は「何だ、これ?」
当社はフランスに本社があり、私どもはその日本法人です。本社のSFA社は1958年に創設、現在では世界各国に29支店を持ち、90カ国以上でビジネス展開をしています。日本では1990年頃から輸入代理店というかたちで販売していましたが、2011年に日本法人を設立しました。
当社の「排水圧送ポンプ」は創業者で現会長が開発した製品です。フランスを含め欧州では、新規建築や増改築の際に景観を損ねないよう、法規制などの厳しい制限が課せられています。そのため石作りやレンガ作りの美しい町並みが保存されているわけですが、一方で建物内部の設備は老朽化していきます。
そこで当社の会長が、簡単に増設あるいは交換ができる、機械式の小型ポンプを開発したというわけです。海外ではDIYが盛んということもあって、当社の製品はホームセンターなどで販売されています。
耐用年数は10年程度。説明書を読みながらの作業でも簡単に設置できます。60年以上の販売実績があり、海外ではそれなりに知名度のある製品ですが、日本での認知度はまだまだ。展示会で初めてご覧になったお客様の反応はたいてい「何だ、これ?」です。
しかしながら、当社製品の「どこにでも水まわり設備を設置できる」という特徴は、日本でも様々なシチュエーションで活用できると考えています。
例えば、介護の現場。ご自宅などで介護される場合、ベッドとトイレが遠いと移動距離が長くなり、介護する側の負担になることがあります。さらに夜間や冬場であれば、気温差で急激に血圧が低下する「ヒートショック」の危険もあります。そこで、当社のポンプをお使いいただければ、ベッドの横や押入れの中などに水洗トイレや洗面台を設置できるのです。

テナントやキッチンカーなど様々な分野での活用が見込める
テナントビルでの活用も見込めます。通常、テナントでは退去時の原状復帰の問題もあって、水まわり設備を変更するのは簡単ではありませんが、当社のポンプなら、従業員向けトイレの場所を移動させたり、食品用の冷蔵・冷凍ショーケースから出る雑排水を簡単に処理できます。
店舗レイアウトを自由に変更できるため、食品スーパーマーケットの「まいばすけっと」様や、総合ディスカウントストアの「ドン・キホーテ」様にご活用いただいています。さらに、キッチンカーやキャンピングカー、トレーラーハウスなどの需要もあります。
当社のポンプは100メートル先まで水を届けることができるため、2024年1月の能登半島地震の際には、避難所のトイレ等の排水にもご活用いただきました。
業務用の排水ポンプ・水中ポンプは、多くの日本メーカーさんが手掛けられている商品です。ただ、小型のユニット式ポンプというのは当社だけ。特に、排水を下ではなく上に揚げられるのも当社製品のユニークなところです。
お使いいただいたお客様からは「ありそうでなかったよね」という反応をいただくことが多いです。ある建築家の方からは、「住宅リフォームなど、設計の幅が広がった」とうれしい言葉をいただきました。
従来は、施主様から「ここにトイレをつけたい」という注文が入っても「排水口がないから無理です」とお断りしていたそうですが、現在は「ああ、それならこういうポンプがあるからできますよ」と引き受けられるようになったと聞いています。
別の施工業者の方からは「この製品、半年前に知っていればあの現場で使えたのに。もっと早く教えてよ」と冗談まじりに言われたり(笑)。
実際、当社のお客様の多くはリピーターです。使っていただいた建築家や施工業者の方に「この間、使わせてもらったよ、ありがとう」とおっしゃっていただけることも多く、大きなやりがいを感じる瞬間です。
一回の展示で多くのお客様に見てもらえるのが出展のメリット
当製品の魅力をお伝えするには、じかに見ていただくのが一番です。そのため、お客様に実機を見ていただく機会をとても重視しています。
元々倉庫だったスペースをテクニカルセンターとして改修し、製品を見ていただく場所にするなど様々な施策を行っています。とはいえ、地方のお客様にわざわざお越しいただくのは心苦しいですし、簡単ではありません。
そのため、一回の展示で多くのお客様に見ていただけるという点で、展示会への出展は非常に効果的です。
JHBS2023では、日本トイレ協会さんが主催したシンポジウムにも参加させていただき、100人ほど来場者の前で、活動報告というかたちで製品説明をさせていただきました。2021年には「みらいのたね賞」というアワードも受賞し、当日はツアーを組んでいただいき、多くの方に当社を知っていただけたのではないかと思っています。
新規のお客様に出会えるのも大きな魅力です。多くの会社さんがそう感じていると思いますが、新規のお客様にお会いするのは簡単ではありません。訪問するにしても、1日に10件お訪ねするのがやっとですし、そもそも会っていただくことが難しい。ところが展示会では、かなりの数の方に実際に足を止めて話を聞いていただける。これは展示会ならではですね。

出展を続けることで、自社と製品の認知度を高めていきたい
展示会への出展にはマーケティングの効果も見込めると思っています。当社の製品は用途が広く様々な使い方が見込めますから、どこでどんな方にヒットするか分かりません。お客様が何に興味を持ってくれるかを体感できるだけでも意義があると思います。
それがクリーンヒットなのか、ちょっと「かする」程度なのかはまた別問題ですが、幅広い層のお客様にお話をさせていただく中で、思いもよらない自社製品の使い方を発見できる可能性もあります。
例えば、あるお客様は、夏場に溶けてしまったアイススケートリンクの排水に当社の商品を利用しているそうです。確かにリンクの水も雑排水です。私たちも「なるほど、そういう使い方もあるのだな」と勉強させてもらいました。
認知度を高めるのは簡単なことではありません。それでも、去年よりは今年、今年よりは来年と少しずつ、当社と当社の製品の魅力を知っていただきたい。そのために、JHBSのような展示会の活用を地道に続けていきたいと思っています。
