リフトロックキャスター

リフトロックキャスター

石黒製作所

キャスターがリフトロックされるだけで、こんなにもストッパーとしての使い勝手が良くなるかということを、目から鱗のように感じた製品。テーブル等の足の重心の位置にリフトロックのレバーとストップパッドがくるようキャスターがデザインされており、リフトロックされるとタイヤが浮くことで安定状態を保持できる機構は、まさにスモールイノベーション。アジャスターの使い勝手の良さも含めてユーザーへの心配りが素晴らしい。(西田司)

リノベライナー工法

リノベライナー工法

いずみテクノス

縮小社会が叫ばれる中でも人々のくらしを安全で豊かなものにするためには、建設ストックを活かし、使い続けることが重要である。そのためには建築本体だけでなく、設備配管などのインフラを使い続けるこの工法のような技術が重要となる。団地敷地内の排水管などに、形状記憶性を持つ硬質塩化ビニル管を通し、蒸気で加熱して形状を大きく戻し既存配管に密着させることで配管を甦らせるユニークなものである。配管の交換のための地面を掘り返す必要がないため工期が短縮され、住民の利便性も向上するこの技術は、設備の更新工事を多く手がける企業と、素材メーカーの協力で生まれたものであり、協業がイノベーションを生む好例であると言える。(山代悟)

ZIPcurtain® W

ZIPcurtain® W

SHY

カーテンの開け閉めの音は意外と大きいが、このカーテンレールはそれをほぼ「無音」にする。併せて薄いレール寸法とフラットでシンプルな形状は、カーテンボックスを設ける納まりのハードルを低くするだろう。それらが意味するものは、カーテンを設置する場所や状況の自由度が格段に増すということである。窓だけでなく、室内の間仕切りや目隠しとして、あらゆる建具と比較しても最も軽く、静音性が高い開閉装置を、このカーテンレールによってつくることができる。読書スペースや作業室、病室など静かさが求められる環境や、自然音や音楽を楽しむ空間のための「音のデザイン」においても、重要な役割を果たしうるだろう。性能、デザイン、そして空間に与える可能性という点で、非常に優れた製品である。(山本想太郎)

囲柱ラーメン木構造

囲柱ラーメン木構造

ライン工業(岐阜県木材協同組合連合会ブース内)

中大規模木造建築の先進的な取り組みは増えているが、依然として非住宅の分野においては、一階建、二階建てであっても鉄骨造などでつくられるケースが大半である。これは生産や施工技術の問題もあるが、設計者が対応できていない部分も大きい。この製品のようにシステム化され、評定も取得した工法が増えることで、中大規模木造建築が取り組みやすくなる意味は大きい。一般流通材を金物で繋いで隙間のある囲い柱とする構造形式もユニークであり、梁との接合も合理的である。開発者は鉄工所であるが、異業種が木造の世界に進出することで革新が生まれる可能性を感じることができる。(山代悟)

HIROMA

HIROMA

クリナップ

キッチンメーカーと老舗家具メーカーである飛騨産業がタッグを組みリリースした本提案は、機能性と居住性のデザインが素晴らしい。家具を買うようにキッチンを選ぶ時代が来ており、HIROMAのラインナップを見ると、ワゴン収納やチェアなど、キッチン周囲にあるダイニング家具も一体でブランディングされており、世界観を空間に展開できるのが良い。キッチンという機能が、場所として、空間としてデザインされていくと、ダイニング・リビング・アウトドアと水平展開していく未来までも想像してしまう。(西田司)

2段筋かい 新・つくば耐力壁

2段筋かい 新・つくば耐力壁

タナカ

450幅で効く木造用耐震壁は、住宅スケールの木造を設計する際に、とても重宝するスモールイノベーションである。住宅の家具や収納のスケールとも一致し、インテリアデザインとの相性も抜群に良い。二重壁にして倍の強度をだしたり、450幅の壁柱として鉄骨やR Cのラーメン構造の柱のような見た目にして使用することも構造デザインの展開としており、今後の空間デザインが楽しみだ。タナカからは、金物と筋かい材の供給だけで、許容応力度計算により従来の軸組に適用できるのも魅力である。(西田司)

ボルトラス

ボルトラス

ポラテック

これまで鉄骨造の採用が大半であったスパンの大きな空間であっても、木造を検討したいという案件は増えている。トラス形式を採用すれば設計は可能であるが、木造で行う場合、材の種類、樹種、強度、断面、そこで用いる接合金物の選択など選択肢は多く、その組み合わせは膨大である。それらをシステム化し、個別の案件に応じた設計支援と製造をパッケージ化することは、設計者の後押しとなり、中大規模木造の採用事例を増やすことにつながるだろう。引っ張り材など木材を採用する際に接合部の設計や施工の難易度が上がる部分にボルトを採用したり、ビス貫通式の鋼板金物接合とするなど、木材と金属のそれぞれの良さを活かした組み合わせも好ましい。(山代悟)

堀商店建具金物 kuro シリーズ

堀商店建具金物 kuro シリーズ

堀商店

明治23年創業という歴史のある同社の金属製品は、機構の信頼性とフォルムの美しさを兼ね備えたものであり、特に建具金物は愛用する建築家も多い。また有難いのは仕上げバリエーションが豊富なことであり、10数種類の金属らしい上質な仕上げが、レバーハンドルだけでなく、丁番やステーなどのパーツにも共通でラインナップされている。今回ラインナップが増えたという「黒クローム」色も深みのある美しさである。シンプルで洗練された形状と色調の自由度は、空間の「異物」となりがちな建具金物を穏やかにその場に融合させる。そのような建築との関係性により空間デザインに可能性を与え続けている建材製品のシリーズとして、高く評価したい。(山本想太郎)

ころやわ®

ころやわ®

Magic Shields

バリアフリー対応の床材には、杖や車椅子の使用時に床面がへこまない「硬さ」と、万が一転倒した際に怪我をしにくくするための「柔らかさ」という相矛盾する性能が求められる。この製品はその問題に対する一つの回答として示されたものである。通常は硬い床だが、一定以上の衝撃は柔らかく受け止める、という着想を実現するための裏面形状は、かなりの試行錯誤を経て練り上げられたものと想像される。今後間違いなく重要となっていく生活空間のバリアフリーにおいて、建材製品は一つの性能を追求するだけでなく、多様な要求に同時に応えるという特性を持たなければならない。本製品はその好例だが、これから耐摩耗性、防汚性、意匠性のバリエーション、ケミカルフリーの健康性など、より多面的に進化していくことにも期待したい。(山本想太郎)

Roof-1(ルーフワン)/Home-1(ホームワン)

Roof-1(ルーフワン)/
Home-1(ホームワン)

モノクローム

今まで別々であった太陽光パネルと屋根を、金属屋根に太陽光セルを組み込むことで一体化し、屋根にしか見えない、屋根一体型太陽光パネルという画期的な製品。今後新築住宅がZEHになっていく日本において、性能だけでなく、住宅風景を美しくデザインするきっかけとなるイノベーションである。専用アプリで太陽光の発電量だけでなく、家全体の設備ごとのエネルギー量をモニタリングし、家全体でエネルギーを考えるオペレーションデザインも興味深い。デザインとエネルギーのブリッジを考えたこれからの暮らしが楽しみである。(西田司)

「ゲスト選考委員賞」 受賞作品

Vanair / ヴァンエアー

チャネルオリジナル

家全体の断熱性能と機密性能を高めたパッシブハウスをデザインするにあたり、これまで換気が難しいとされてきた居室の空気環境に対し、内外で位置をずらした縦型スリットにより、優れた防音性能と高い通気性能を両立させたスモールイノベーション。(西田司)