受賞作品 Award-winning works

【2025年1月リニューアル】ダクトレス熱交換換気システム「せせらぎ®S400」
パッシブエネルギージャパン
24時間換気が義務化され、建物内の熱環境を維持することの矛盾が問われてきました。これまで天井内にダクトを切り回すため設置場所を選ぶのに苦労していた熱交換の機能をそのままに、壁付で設置できることで設置場所の自由度があがることが大きな評価になりました。また、コントローラーを使うと8台までの制御ができるということは、住宅であればすべての部屋を一台のコントローラーで制御できるのが嬉しい。それに高性能のフィルターを備えているにも関わらず、年に一度のファンユニットの掃除に食洗機が使えるのは、目から鱗的な提案。今後の更なる機械の小型化と内外部のカバーデザインへの配慮に期待したいと思います。(納谷学)

ウッドファスナー工法
木構造システム
建築の脱炭素化への対応は、運用時の省エネルギーへの対応から、建設時の環境負荷の低減へと進んでいる。木造そのものが鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べて環境負荷は低いということができるだろうが、その中でさらに環境負荷を低減させ、施工性も向上させていく努力は求められている。中規模の木造建築にいては鋼板挿入型の接合部も多く採用されるが、鋼板そのものも大きくなりがちであり、その部分の環境負荷は無視できない。ウッドファスナー構法は採用実績も多いGIR工法を用いながら、それを複数組み合わせることで鋼板挿入の必要性をなくす工法として高めているところがユニークであり、今後の更なる発展が期待できる。(山代悟)

パールテクトmoku
テンパール工業
1棟の建物には必ず分電盤があります。この商品を見た時、やっとここまでデザインの手が届くようになったかという印象を持ちました。設備に関わるものは、得てして機能的で技術的な点が100として考えられていますが、現状の住宅ではなるべく目立たないところを探して設置されています。絶対必要なものだけど見せたくない。ならば見えてもいいものにすればいいじゃないか。それを叶えた商品です。これは単に扉を木にしたという表層の話ではなく、分電盤の場所にデザインの力で自由度を与えた最初の分電盤という評価です。さらに異業種のコラボレーションによって生まれたことがみらいを予感させます。願わくは箱も木で作って欲しかったけれど、これは近いみらいに期待したいと思います。(納谷学)

マスタールーフィング
田島ルーフィング
防水という性能を必要としない建築は存在しない。風雨から人々と家財を守り、命に直結する役割が建築そのものの存在意義だからである。風雨や高温低温に晒される部位であるにも拘らず数十年にわたって性能を発揮し続ける必要があるため、その製品開発には慎重さが求められる。そのためか、なかなか斬新な新製品が生まれにくい分野だと言えるだろう。本製品は防水性能を担保するアスファルト層を、劣化防止層でサンドイッチすることで性能の低下を防ぎ、60年という長期にあたる性能維持を可能としている。これは利用者の安心安全につながるとともに、環境負荷の低減にも大きな役割を果たす、外見には現れにくいが価値ある進化と言えるだろう。(山代悟)

真鍮プレート 4スイッチ
アクシス
一般的な電気スイッチの形状や色は、①機能性を重視しあまり見た目には配慮されていない、②シンプルな見た目で空間意匠を損ねないよう配慮されている、のいずれかであることが多い。しかしそれが生活に絶対に欠かせない建築要素であることを考えるならば、このスイッチのように見られること、そして空間意匠に影響を与えることを前提とするほうが、むしろ本来のあり方のようにも思える。いずれにしてもこのような製品の存在は、設備機器もまた空間意匠の要素であるという意識を設計者に与える。建築と設備との関係性において、この小さな気づきの意味は、けっして小さくない。調光装置や多様なコンセント類など現代的な要求への対応が進めば、使われる局面も一気に増えそうである。(山本想太郎)

燃エンウッド®
竹中工務店
中大規模木造建築の普及を考えていく際に、都市的な立地が可能であることは必須であり、耐火構造が重要な役割を果たす。本製品は20年以上にわたって技術である。中央の構造をになう柱や梁の外周には仕上げともなる木材があるが、その間にモルタルでできたバーがサンドイッチされているユニークな断面をもっている。部分的に外の木材と構造材が木で繋がっていることで燃え込んでしまいそうに感じるが、外部仕上げの木の炭化による効果と、モルタルが熱を吸収する効果で火は内部の木構造部まで燃え続けることができない。実績とバリエーションを増やしてきていて、これからの100年単位の未来をつくる技術だといえるだろう。(山代悟)

住宅仕様確定クラウドサービス『egaku(エガク)』
コムテックス
住宅設計において仕上仕様や設備機器の選定は、設計業務のごく一部であるにも拘らず、非常に時間がかかり認識のずれによるトラブルにつながりやすい部分であろう。言った、言わないのやりとりが発生しやすい場面である。この部分をクラウド化したプラットフォームを使用し、打ち合わせの前や後にじっくりと話し合ってもらい、納得したところで仕様確定の承認をもらえるという本製品は、ピンポイントでありながら効果の大きなものであると言えるだろう。包括的なサービスも重要であるが、機能性を絞ることで使いやすいものとなっているのが魅力的である。(山代悟)

トイレ内異常検知システム「Xeye」
三協エアテック
トイレなどカメラが設置できないところや人の目が行き届かないところをどう管理するか?この問いに現代のIT技術を使ってストレートに応えた商品だと思います。そして、欲しかった。住宅内での事故の発生が高い場所は、浴室とトイレと言われています。公共の場だけではなく、家庭内でも十分ニーズのある製品だと思います。ましてこれからは少子高齢化の時代、多くの老人を少ない労働で管理するための大きな一歩だと思います。大きな枠組みができたわけですから、今後のソフトの使い易さなど使う人に寄り添った製品に仕上げてもらいたいと思います。(納谷学)

樹脂製レジスター グレー・ブラック
バクマ工業
ほとんどすべての建築の外壁・内壁に設置される給排気口のカバーも、多くの設備機器や配管などと同様に「見て見ぬふり」の対象となっている。配慮する設計者は、それを何とか目立たないところに配置するように努力する。この建築と設備のよそよそしい関係は、近代建築デザインが長く保留し続けてきた問題であり、多くの設備機器はその扱いに甘んじて、建築意匠とどのように関係していくかという点に積極的には取り組んでいないように思われる。このメーカーが、形状のデザイン性に加えて、幅広くブラック、グレー色の製品を標準ラインナップすることは、そこに一石を投じている。色の選択肢が増えるだけで、その建築デザインにおける役割の可能性が格段に広がることは間違いない。(山本想太郎)

ポジカ®くっきり™フィルム
三井化学
建築は金庫のように完全に外部を遮断する箱ではなく、自身の出入りはもちろん、日光、新鮮空気、そして眺望のように必要なものを選択して透過させている。つまり建築の中から風景を見るという行為は、建築というフィルターを通した外界の体験である。黄色域の光を選択的にカットして明瞭度の高い印象的な映像をもたらすこのウィンドウフィルムを見て、そのようなことを考えさせられた。美しい風景に出会うとすかさずスマートフォンで撮影し、デジタル処理によってつくられた「映える」画像を見て悦に入ることが当たり前となった現代、窓にも新たな性能として色調調整が求められるようになるのか、なんとも気になる。これからの展開が楽しみな製品である。(山本想太郎)

eco momii(エコモミー)
蝶理GLEX
このフローリングは床にただ置くだけの設置を前提としている。わずか5mmの厚さでありながら、特殊な形状ではめ合せることによってしっかりと接合され、下地に固定されていなくても安定した仕上げ面を形成することができる。主材料はSPC(ストーンパウダーを混入したPVC樹脂)だが、独自の特徴として籾殻パウダーも混入している。籾殻を使用することで、エコ性のみならず、軽量化や加工しやすさなど、安定感と施工性のより高度なバランスが生みだされている。DIY的な使われ方を前提にした製品においても、深い技術的追求が新しい可能性をもたらしうるということを、このフローリングはよく示している。オリジナリティのある色調や柄への展開にも期待したい。(山本想太郎)

AI現場カメラサービス zenshot
SoftRoid
建設現場の人手不足は深刻であるが、それは職人だけではなく、知識や経験を有した現場監督にも言える。住宅建設においては複数棟を同時に監督することが必要となるが、移動時間だけでも多くの時間が取られてしまい、結果として各現場への訪問回数が減少してしまう。本製品は監督や職人が360度カメラをもって歩くことで、動画から現場内の複数視点からの全方位画像を生成するものである。近い作業は一般的な360度カメラを用いれば可能であるが、クラウド上でそれをマッピングされた状況で行えること、そして時間を遡って同じ場所の施工前後を比較検討できるという機能はユニークかつ有用なものである。(山代悟)

frocoat(フロコート)
日研工業所
カタログを見た時には、正直言って少し疑わしい通販のDIY商品のように思いましたが、実際のサンプルを見て驚愕のあまり笑ってしまいました。光沢がホウロウの塗装のような塗膜の厚さを感じるし、まったく安っぽくない。吹付け施工なのでハケムラもなく新品の製品と同様の光沢を甦らせます。世の中でリノベーションが急増している中、工期が短くコストを抑えられるこの商品は、現状でも多くのニーズがあると思いますし、リノベーションのきっかけの多くは水周りの改善から始まることが多く、予算を抑えるリノベーションには絶対必要なアイテムとなるはずです。さて、この次の展開はどうなるのでしょうか。また私を驚かせてください。(納谷学)

Smari宅配ボックス
三菱商事
自宅(戸建て、マンション)の宅配ボックスに荷物を入れるだけで、メルカリやZOZOなどのECサービスによって集荷、発送されるという仕組みと一体となった製品。駅やコンビニに設置された集荷マシンでも同様のサービスを提供するようだが、やはり自宅から直接(のごとく)先方に届くというシステムには特にインパクトがあり、移動のエネルギーやモノの存在感に対する意識が希薄になるのではないかと危惧してしまうほどヴァーチャル性が高い。しかしそれは一方で、人をとりまく生活環境が、もはや建築や都市といった空間によって規定されるものではないという、高度通信インフラ時代の感性をよく反映しているともいえる。まさに建築、建材という概念の未来像を示唆する製品である。(山本想太郎)
「ゲスト選考委員賞」 受賞作品

TETRAGON
GLORY
元々スリムで細いラインが好評の照明器具の商品です。光が途切れることなく機器を連結できて、これまでも調光タイプもあって機器自体がコンパクトに仕上がっています。しかし、これまでは連結といっても直線的にしか連結できなかった端部の納まりを、TETRAGONは直交させて連結できるようにしています。その小さな気づきによって、ロの字型、日の字型、田の字型など、シームレスな光の演出を可能にしています。元々間接照明用にはさまざまな照明機器がありますが、どちらかというと裏方的な使われ方です。
TETRAGONはこの気づきによって様々な空間にダイレクトに使用できる可能性を提示したのではないでしょうか。(納谷学)